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「国際化の中で外国人参政権問題をどう考えるべきか」

2005/07/05-00:00

先日は、外国人労働者の問題についてうかがいました。
ところで、外国人をめぐってはもう一つ、意見が分かれている問題があります。
「外国人参政権」の問題です。早川さんはこの問題についてどう考えていますか?
早川 外国人参政権問題は、日本国の主権に直接関わる問題であり、慎重に対処するべきだと考えております。
先ず、参政権の内容をどう捉えるかについて共通の理解をもつことが重要です。
どういうことでしょうか?
早川 参政権の中身が単なる政治的意見の表明権の保障や外国人の一般的利害に関わる事項についての意見表明の権利の保障にとどまる場合は、一定の範囲で認められる余地があります。しかし、選挙権や被選挙権の行使を認めるということであれば話は別です。
外国人が選挙に立候補したり、投票することは認められないということですか?
早川 そうです。
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である、と現憲法15条1項に明記しております。私は外国人に選挙権の行使を認めることは憲法の規定に違反することになると理解しています。
確か、10年くらい前に、裁判所が「地方議会の議員や長についての選挙権行使について憲法は特にこれを禁止していない」というような判決を出した、と新聞で読んだことがあります。
早川 平成7年2月28日の最高裁判決ですね。
確かに「わが国に在留する外国人のうちでも永住者等であって、その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる者について、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではない」と判示しております。しかし、私は、「公務員の選定罷免権は、よって立つ国民主権原理に照らし、その権利の性質上日本国民のみをその対象としていることは明らかであって、右の権利の保障は外国人には及ばない。」との大阪地方裁判所の平成3年3月29日の判決の考え方を支持したいと考えております。
しかし、最高裁が出した判決はそれなりに尊重しなければならないのではないでしょうか?
早川 仮に最高裁の論理に従うとしても、わが国の立法政策上外国人参政権を認めることには賛成できません。無用の議論を招かないために、まず外国人参政権を認めた場合にどのような弊害があるのか、あるいはないのか、ということを具体的に明らかにし、共通の認識をもつことが必要だと考えます。オウム真理教のことを覚えていますか?
89年に坂本弁護士一家殺害事件、94年に松本サリン事件、95年には地下鉄サリン事件を起こした犯罪集団ですね。
早川 かつて、オウム真理教の信者が人口数千人の村の一居住施設で集団生活をしており、これを阻止しようとする地域住民と激しいトラブルとなったことがありました。万一集団生活を続けていたオウム信者の転入届が認められれば当然これに伴って選挙権の行使が認められることとなります。人口の少ない町村の場合は、大挙して転入し、選挙権を取得したオウム信者が自ら議員や村長等になる道が開かれるおそれがあったのです。
もしそんなことになったら大変ですね。
早川 私も、一連の地域住民とのトラブルについての報道に接した当時は、村役場において、オウム信者等の転入届けを拒否することができるのだろうか、と疑問を覚えたことも事実です。しかし、村長や議員の報酬のみならず、職員の給与も実は地方交付税交付金によってその大部分が賄われているというのが地方の実情です。万一マインドコントロールされているオウム信者が1000人単位で3000人規模の村に転入したらどういうことになるでしょうか。選挙権の行使までが認められることになれば、村の行政を事実上支配することが可能になります。
なるほど。1人、2人では問題にならないようなことも、集団になると大変重大な結果をもたらすことがあるんですね。
早川 その通りです。
もちろん、一般の外国人の方々をマインドコントロールされているオウム信者と同じように考えることは明らかに適当ではありません。しかし、日本人や日本の文化との同化を拒否し、あるいは一般の日本人とは異なった価値感を有している集団に所属する外国人に一律に参政権を付与することになってしまえば、前述したのと同様の危険が生じることは否定できないと思います。このような危険性についての認識をまず共有化する必要があります。
89年に坂本弁護士一家殺害事件、94年に松本サリン事件、95年には地下鉄サリン事件を起こした犯罪集団ですね。
早川 かつて、オウム真理教の信者が人口数千人の村の一居住施設で集団生活をしており、これを阻止しようとする地域住民と激しいトラブルとなったことがありました。万一集団生活を続けていたオウム信者の転入届が認められれば当然これに伴って選挙権の行使が認められることとなります。人口の少ない町村の場合は、大挙して転入し、選挙権を取得したオウム信者が自ら議員や村長等になる道が開かれるおそれがあったのです。
でも、大事なことはすべて国が決めるんですよね。
市町村ができることというのは限定されているし、国全体の運営がおかしくなるようなことにはならないのではないですか?
早川 基礎自治体である市町村が果たすべき役割は、益々拡大しております。
義務教育や様々な社会福祉行政の現場は全て市町村が担っております。万一、外国人に参政権を付与すると、公平・公正であるべき市町村の行政や福祉行政が、参政権を取得した外国人集団の意向に左右されてしまうという結果になる恐れがあります。それに、地方自治体は、決して一地方の地域住民の生活に密接な問題だけを取り扱っている訳ではありませんからね。
本当に、一地方の問題が国全体を巻き込んでしまうようなことがあるのですか?
早川 はい。かつて高知県知事が国の方針に反対してアメリカの原子力船の寄港を拒否した、ということがありました。原子力発電所の建設問題や高速道路建設問題、米軍の基地使用問題等、国の利害に関わる重要問題について市町村の長や議会の動向は極めて大きな影響を与えます。万一国の方針に対し地方自治体が強力に反対すれば、国としての統一的かつ整合性のある行政の執行ができなくなるおそれがあります。国家統合を進めているEUと日本は異なります。こういった具体的な問題について逐一検討し、国民の共通の理解が得られれば、わが国においては安易に外国人に参政権を付与すべきではない、という結論になると思います。
ところで、外国人参政権の実現を望んでいるのは、いわゆる在日の方々が多いと聞きます。
早川 在日の方々は、かつて日本人としての国籍を有しておられた方々です。
サンフランシスコ講和条約の発効に伴い、これらの方々が一片の法務省民事局長通達によって日本国籍を失ってしまったという過去の経緯について、私は憤りを感じております。こういった在日の方々には、希望されるのであれば直ちに日本国籍を回復させるべきであると考えております。しかし、わが国においてそういう新たな選択の道を用意しても、なお日本国籍を取得することを拒否される方々は、日本国籍の取得を拒否する特別の理由があり、また日本国民と同一の文化を共有することを拒絶する明確な意思をもっておられる方々だと思います。
そういった方々は、国籍は今のままで、参政権を認めて欲しい、と本当に求められているのでしょうか。
早川 こういった方々は、母国への帰属意識が特に強い方々ですので、わが国における参政権の行使までは希望されておられないのではないかと思います。私は、このような方々には、あえて選挙権や被選挙権を認める必要はないと思います。日本国籍を取得し、日本人になって堂々と参政権を行使して頂くのが本筋ではないでしょうか。