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■ 時代に合った新しい憲法を作る
 「改憲が護憲」を超えた視点に立つ 日本国基本法(平成憲法)を提唱


いよいよ2000年1月より、国会両院に「憲法調査会」が設けられる。
国会を舞台に本格的な憲法論議が開始されることになる。
そのような折、まことに時宜を得た、そして中身の濃い好著が出版された。
本書の著者、早川忠孝氏は現職の弁護士である。
まず第一に、護憲色の強い弁護士会で要職をつとめている著者が、
あえて弁護士会の常識に挑戦を試みた姿勢に深く敬意を表したい。
本書のキーワードは、「創国・創憲」である。いわゆる「改憲か護憲か」という従来のステレオタイプを超えた視点に立っている。
その意味で、新鮮に映る。全体が五章立てで
第一章「現行憲法を検証する」
第二章「諸外国の憲法体制を検証する」
第三章「憲法の争点を検証する」
第四章「二一世紀にふさわしい新しい憲法を創ろう」
第五章「日本国基本法(試案)を提案する」から組み立てられている。
このうちの秀逸は、「日本国憲法(平成憲法)」を提唱していることである。
第三章の「周辺事態にいかに備えるか」「参議院をいかにすべきか」「司法改革をいかに進めるか」などの検討を踏まえたうえで、新しい基本法の創設唱えられる。
その特色は、「創憲」の立場をとり、日本社会の歴史・伝統・文化を尊重しつつ、共生社会の確立をめざす点にある。より具体的に、(1)憲法前文の根本的変更(2)核廃絶平和主義宣言(3)国際貢献・国際協力に関する規定の創設(4)国および国民の環境保全の義務(5)情報公開原則の確立(6)民事法律扶助や未決拘禁者に対する公的導入制度などリーガルエイドの拡充(7)司法制度改革促進のための非常勤裁判官制度の導入などが提案されている。
いずれも、二一世紀の日本にとってふさわしい内容といえる。
近年、読売憲法改正試案など、いくつかの憲法改正案が提起されているが、本書は今後の憲法論議にあたって、重要な参考文献になるであろう。
著者は、現在、自由民主党衆議院埼玉県第四選挙区支部長の地位にある。
次の総選挙には、この「日本国基本法(平成憲法)」を堂々と訴え、議席を獲得することにより、国会に新風を送り込んでほしいものだ。

駒澤大学教授 西 修 - 平成11年10月19日付け 自由民主- -今週の本より

− はじめに −今、なぜ憲法か

これまで憲法の論議を始めると、「この人は護憲派か、改憲派か」という区別が先行し、さらに「ハト派か、タカ派か」とステレオタイプに分けることにとらわれ、憲法の本質を論じる風潮が少なかった。
そこで、平成10年(1998)年11月、私は自著『新しい日本への意識改革』の中で、「新しい日本国基本法(平成憲法)を創ろう」という論稿を発表した。日本国憲法の改正を主張する声が日増しに大きくなってきているにもかかわらず、新しい憲法はどんな形になるべきかについて具体的な案文を示すものが少ないように思われた。そのようなことから、憲法改正問題についての論稿をほんの一歩だけ進ませるために、"叩かれ台"を提起してみようというのが執筆の動機であった。

護憲を標榜している弁護士会にあって、関東弁護士会連合会人権擁護委員長や東京弁護士会弁護士業務改革委員長などを務めてきた私にとって、いわば弁護士会の常識にあえて抗するような作業であった。しかし、前書について、弁護士の方から反発は少なく、むしろ「個人的には同感だ」という声が数多く寄せられた。また、高校で社会科を教えている教師や、一般のビジネスマン、主婦などからも励ましの声が寄せられた。
今回、その論稿を大幅改訂し、私の単行本として出版するよう強く勧められたのは、第一東京弁護士会の副会長などを務められ、佐賀の吉野ヶ里遺跡の近くに私塾(吉野ヶ里道場)を開設されている飯田数美弁護士である。氏は、その活動の一環として、弁護士などの法律専門家の能力、識見が広く政治の政策づくりに活用されるよう基盤整備に努められている。

氏は、「新しい日本国基本法(平成憲法)を創る」という私の発想に強く共鳴され、その実現のために国会の審議に先駆けて「新しい憲法を創るための研究会」の設立を提案された。駒澤大学の西修教授の研究成果に接することができたのも氏のお陰である。
平成6(1994)年11月3日、読売新聞社内に設置された「憲法問題研究会」の策定した「読売憲法改正試案」が読売紙上で大きく掲載され、マスコミ界をにぎわした。また、憲法施行50年を迎えた平成9(1997)年には、月刊誌「This is 読売」臨時増刊号(「日本国憲法のすべて」)が発刊され、憲法論議を進展させる基礎資料が提起された。
同年5月には、憲政記念館で超党派の憲法調査委員会設置推進議員連盟による「憲法を考える集会」が開催され、憲法改正論についてのタブー払拭に一役買った。そして、1999年7月、衆参両院に「憲法調査会」を設置する法案が通過し、いよいよ2000年の通常国会から、国会の場で憲法問題が議論されることになった。

いうまでもなく、現行の日本国憲法は、わが国が連合国の占領支配下に入り、連合国軍総司令部(GHQ)の指示、指導、そして監視のもとに策定されたものである。憲法制定当初から、憲法制定にいったた経過の問題性は十分に意識されており、「わが国が主権を回復した後に速やかに改正される暫定憲法であると考えるべきだ」との主張もあったといわれている。

しかし、現在まで、憲法の見直しはまったく行われず、憲法の空洞化、形骸化が進行してきている。憲法は制定時のみずみずしさや輝きを失い、国家の基本法としての生命力を喪失してしまった。
新聞報道などによると、国民の多くは、今でもわが国の憲法は世界で最も進んだ憲法であり、世界に誇るべきものであると信じているようだ。しかしながら、実はそれが神話の類でしかないことは、比較憲法学や憲法制定史研究の専門家の研究によって実証されている。

詳細については、西修駒澤大学教授の『日本国憲法を考える』(文春新書、1999年)や同教授の『よくわかる平成憲法講座』(TBSブリタニカ、1995年)をぜひ一読いただきたい。日本の憲法について、漠然と、世界に類のないすばらしい憲法であり、これを守っていかなければならないと信じてきた人たちにとって、目からうろこが落ちるような思いをされることは必至である。
本書も、データの引証などの点で参照させていただいた。
自国の法体制の基本を定めている憲法の欠陥を、事細かく検証しようというのが本書の目的ではない。
本書は、わが国を真の意味で法治主義国家として確立していくための提言の書である。
日本国憲法の制定史を検証し、施行後、五〇有余年の諸事象を検討しつつ、国民主権主義の徹底と議会制民主主義の確立を指向し、新しい国民国家を創ろうとする試みである。
「創国」が本書のメイン・テーマであり、そのための「創憲」が私の提案である。
読者の皆様とともに憲法のあり方を考え、新しい時代に合った憲法を創るのに役立てば幸せである。

1999年8月 早 川 忠 孝

解説

日本国憲法は、昭和22年(1947年)5月3日に施行されましたが、いうまでもなく、それは第二次大戦終了後、連合国軍の進駐支配下にあった時であります。その時から既に52年を経過しており、当時と現在では、わが国の置かれている状況は一変しております。
この度、日本国憲法に関する論議が、2000年1月召集の通常国会で衆参両院に設置される憲法調査会で始められ、5年後を目処に結論を出すことになりました。21世紀の到来を目前に、わが国の法制の根幹を定める憲法について、国権の最高機関である国会が調査研究に取り組もうとしていることには、大変大きな意義があると思います。

本書は、日本国憲法の制定の経過や世界の主要各国の憲法との比較研究を踏まえて、現在の日本国憲法について問題となる事項を法律実務家の観点から要領良く指摘しております。さらに、21世紀にふさわしい新しい国家の骨格として新しい憲法を創ろうという「創国」「創憲」の立場に立って、日本国基本法(平成憲法)試案の提案をしているものであります。従って、従来の改憲論や護憲論から大きく一歩を踏み出した画期的な提言の書ということができます。
筆者は、大学卒業後、行政官として地方自治や選挙制度に関わられたうえ、弁護士になってからは、司法制度の改革をはじめ様々な法律制度の改革提言に携わってこられ、その活躍には同僚弁護士の一人としてかねてより注目していたところであります。この度、虚心に、新しい時代にふさわしい日本国の基本法を創ろうという高い理想の下に、行政や司法をはじめあらゆる社会システムの改革を視野に入れて本書を取りまとめられました。

あえて筆者が自ら「叩かれ台」と表現されるとおり、筆者の提案される日本国基本法(平成憲法)試案については、様々な方面からのご意見やご異論もあろうと存じます。そもそも現行の憲法のどこが問題となるのか、また、これからの新しい社会システムはどう築いていったら良いのか等について、筆者の論述は、私たち法律実務家や政治に携わる者にとっても極めて有益であり、広く読者の共感と理解を得られるであろうと確信いたします。
また、とかく憲法をめぐる提言、それも改革(創憲)提言ともなると、新聞・テレビなどのマスコミをはじめ出版関係者さえもが正面切ってそれを世に問うことに二の足を踏む傾向が多い中で、正面から堂々の論を展開するこの度の出版は非常に意義深いものであるといえます。
これを機に、国民の一人一人が憲法について考え、自由に意見を述べ合う気風が生まれ、その機会が増えることを期待します。

橋本 四郎平(元最高裁判事、元日弁連事務総長・弁護士)