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あるべき「死因究明制度」について

2009/2/19

第1 議員団による提言
 

 私は、衆議院韓国及び欧州各国司法・法務事情等調査団議員団として、平成20年7月22日にスゥエーデン・リョービン市にある法医学庁及び科学捜査研究所を訪問し、同国の死因究明制度についての視察を行った。  同議員団では、この視察結果を踏まえ、わが国の死因究明制度は、最終的に、解剖に加え、画像検査、薬毒物検査を併用しつつ、全死亡者に対して的確な死因の究明を実施する制度となるよう改革するべきであるとした上で、5年後に法医解剖数を倍増させ、20年後には全死体数の8%の解剖率を達成することを当面の目標として、死因究明制度に関して以下の提言を行った。

1.刑事調査官の更なる増員、警察官の検視・見分に関する能力の向上
2.CTなどの画像検査の一層の活用
3.薬毒物検査の強化
4.法医学教室等に対する予算の確保と専門家の育成
5.監察医制度のより的確な運用と、監察医が置かれていない地域での行政解剖の積極的な実施

 
第2 日本法医学会の提言
 

 この度、日本法医学会において、検視体制及び解剖検査体制の充実、検案・検視における画像検査の導入に加えて、全国の都道府県に死因究明医療センター(仮称)を設置し、人口100万人当たり1名の専任医師を配置することを提言された。同センターでは、日本法医学会「異状死ガイドライン」の対象となる死体の死因究明のための検案・剖検を行うこととし、各都道府県に施設が設置されるまでの間は、解剖施設を有する大学(法医学教室)や自治体の基幹医療機関に事務所を構えて、大学法医学教室等の連携の得られる医療機関と連携基幹郡を形成して、検案、剖検及び諸検査(死亡時画像診断、病理検査、薬物分析など)を分担実施するものとされる。

 
第3 今後のあるべき制度
 

 日本法医学会の提言は、高齢化社会の進行、疾病構造の変化、社会環境の変容などから今後さらに増加するであろう異常死の死因を究明することが適切な疾病予防策を立てる上で不可欠であって、わが国における死因調査の適正化ひいては国民の公衆衛生の向上を目指すためには、高度な専門知識を有する医師による検案、解剖によって死因を明らかにする新たな制度・組織の設置は欠かせないとの問題意識からなされたものである。  その考え方は、死因究明制度は国民が憲法で保障されている健康で文化的な生活を送るための必須の制度と考える私と同じものである。この提言は、衆議院韓国及び欧州各国司法・法務事情等調査団議員団の提言を法医学界という専門家において真摯に受け止め、これをより具体化したものと評価できる。  死因究明制度の改善は、各省庁にまたがる政策課題であって、その実現には政府部内で種々調整が必要であるが、日本法医学界の提言を軸として関係各省庁が横断的に検討を加え、これを肉付けして成案化して行くことが、安全・安心な日本社会の構築に是非とも必要である。
 そこで,以下の施策を実施すべきである。

1. 死因調査医療センター(仮称)を早急に設置すること
2. 専門家を育成するための各種研修制度の充実を図ること
3. 画像検査の利用を促進するための基盤等を整備すること
4. 死亡診断書における的確な死因の記載の徹底を図ること
5. 警察における検視体制のより一層の強化を図ること
6. 関係機関に対する予算措置等、国による財政的支援を強化すること

 

平成21年2月19日
衆議院議員 早川忠孝

 
 
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