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改正犯給法の内容と今後の問題点
第二東京弁護士会 高橋正人
(日弁連犯罪被害者支援委員会幹事)
 
 犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の改正法(以下「改正法」)が今年7月1日、施行された。給付額が4倍になったケースもあり、自賠責保険並みの制度が実現した。(別表はその一例)。
 改正後のポイントの一つは、お見舞い金的性格から、社会の連帯共助の精神に基づく損害の補填という意味合いを持つようになったこと、2つは、多額の出費がかさむ重度後遺障害に対する給付を特に暑くしたこと(表1と2)、3つは、遺族給付金(死亡事案)を被扶養者の多い世帯に厚くしたこと(表3と4)、4つは、低額に抑えられていた最低補償額を大きく引き上げたこと(表2と4)にある。また、従来できなかった休業補償も、自賠責同様、(治療費と併せてであるが)上限120万円まで支給されることになった。
 犯給法の草分けは、市瀬朝一氏である。昭和41年、最愛の一人息子を通り魔に殺害された同氏は、犯罪被害者運動に全私財を投げ打ち、新聞で殺人事件があると知ると、自費で全国の遺族を訪ねて回った。こうして、被害者の会を結成し、同氏の逝去から3年が経った昭和55年、犯給法が成立した。
 その後、平成12年、全国犯罪被害者の会(あすの会)が刑事裁判への参加とともに経済的回復を会の方針に掲げて、運動が復活した。平成16年、あすの会は英独調査を実施し、そこでの調査結果をまとめた「犯罪被害者保障制度案要綱」が内閣府の審議会に反映され、改正法が実現した。
 被害者による長年の権利獲得の努力が実った形だ。しかし、それでも欧米諸国に比べると、わが国の国民一人当たりの負担額は約17円であり、ドイツの271円、英国の483円とは桁が違う。また、年間予算約21億円(平成20年度)は、受刑者が毎日入浴した場合の風呂代にしか当たらない。犯罪被害者は生涯に渡って後遺障害に苦しむことも多い。しかし、改正法のもとでも治療費の補償は1年(かつ休業補償との合計で上限120万円)に限定され、また、生涯にわたる介護費の補償もなく、一時金の最高額3974万円でもとても足りない(表1の50才)。今後も、とぎれることのない一層の権利の拡大が望まれるところである。
 
 
 
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