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平成20年5月13日
サマータイム推進議員連盟
会長代行 中曽根弘文
サマータイム制度について
 
1. サマータイムとは(米国ではDaylight Saving Time)
太陽の恵みを生かし、日中の明るい時間を有効に活用しようとするもの。 欧米では春から秋までの期間、時計の針を1時間進める。 日常の生活時間帯は制度の導入前と後で変化は無く、就寝時刻も起床時刻も働く時間帯も変わらない。(22時に寝て6時に起きる人は、導入後も22時に寝て6時に起きるだけ)
現在は夏の早朝の明るい時間を無駄にしているが、サマータイム制度を導入すると大多数の国民にとって夕方の明るい時間が1時間増え、健康増進、安全、経済効果、省エネなどプラス面が多い。
 
2. 世界の導入状況
1) OECD加盟国30カ国の中で導入していない国は、日本、韓国、アイスランドの3カ国のみ。アイスランドは夏の期間は白夜であるため導入の必要が無い。韓国は日本より西にあるにもかかわらず日本と同じ標準時を適用しているので、通年でサマータイムを行っているようなもの。実質的にはOECD加盟国の中で日本だけが実施していないと言える。
2) 世界70カ国以上(主に中・高緯度の国)で導入されている。
 
3. 我が国におけるサマータイム
昭和23年から26年まで、終戦直後の電力供給不足下にあってGHQの指示により実施。
当時は、食糧も不足し、労働状況も不安定のなか、サマータイム制度の良さを享受できる環境ではなかった。また、屋外労働の多い産業構造の下で、日が暮れるまで働く慣習もあり、更に朝鮮特需とも重なり、労働時間増加につながったという誤解が生じ、4年間で廃止された。
統計によれば導入後最初の2年間は年間労働時間が減少している。3年目   から増加傾向に転じるが、これは朝鮮戦争と重なることから、朝鮮特需の影響と考えられる。
 
4. 経済界、労働界、地方公共団体の働き
1)経団連は奥田会長(当時)、御手洗会長ともに早期導入を求めている。 「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)でも2008年を目途にサマータイム制度導入を提言。
2)金属労協がサマータイムの早期導入を決議(2004年12月)  
3)笹森連合会長(当時)も賛意を表明(2004年12月)
4)札幌商工会議所が呼び掛けて2004年から2006年の3年間、サマータイムの導入実証実験。2006年には全道の705企業・団体・行政機関で約3万名が参加し、好評。実験終了後も自主的参加でサマータイムを継続。本年も6月2日〜9月30日の期間で実施の予定。
5) 滋賀県は2003年の7月〜8月の間、職員1900名参加でサマータイム実験を実施(このケースは1時間の早出・退出)
 
5. 議員連盟の活動について
1) 平成7年に超党派の「参議院サマータイム制度研究議員」発足。何回にも亘る勉強会、関係諸団体との意見交換などを経て法案作成。自民党では政審、総務会で法案が了承された(平成7年6月6日)。 しかし野党での議論、党内調整が遅れ、国会閉会となり、法案提出に至らず。その後、平成8年・11年・16年に改正案を作成。
2) 平成16年に衆参超党派による「サマータイム制度推進議員連盟」が発足。(国会議員アンケートでは回答者の約8割が賛成)
 
6. サマータイム導入のメリット
1) 省エネルギー効果……原油換算で約93万kl (CO2削減147万トン=炭素換算40万トン)   これは「全国民がテレビを66日間見ない場合の電力節約量」であり、   「国内の全JRで使用する電力消費量の114日分」、「全ての鉄道で使用する電力消費量の68日分」、「長野県や福島県などの1年分の家庭用エネルギー需要(原油換算)」などに相当。   京都議定書により原油で5,570万klの削減必要(▲6%として、平成10年地球温暖化対策大綱) (産業・運輸部門で3.830万kl、民政部門で1,740万kl削減必要。93万klは民政部門のうちの約5,4%に相当。)
2) 経済波及効果……約1兆円、プラス10万人の雇用創出効果。原油削減効果450億円、交通事故削減効果460億円等。第一生命の調査では、名目GDP1兆2,094億円の押し上げ効果。
3) 豊かなライフスタイルの実現 家族の触れ合い、地域のボランティア活動、余暇を楽しむ(スポーツ、レジャーなど)、観光・文化の振興。
4) 交通事故減……年間1万件相当(夕刻の交通量の多い時刻が明るく なるため)
5) 犯罪の減少……ひったくり、痴漢の被害10%減少など。(夕刻の下校、退社時が明るくなるため)
6) 社会的弱者(身体障害者、高齢者、目の不自由な人など)にとって 帰宅時間などが明るいことは安全であり、行動時間の拡大にもつながる。(福祉団体からの要望強い)
7) 日本も国際標準に参入することになる。 世界各国がサマータイムに切り替える時、日本以外の主要国は互いに実施するため、各々の国の間の時差はそのままで良いが、日本だけ(韓国も)導入していないため、外国との時差が1時間少なくなる。 ビジネスの上でも、その他の旅行などの面でも、いちいちそのことを考えねばならず、国際スタンダードから現在は取り残されている。 日本が導入することで、世界の仲間入りをするとともに日本も温暖化防止に本気で取り組むという姿勢を示すことが出来る。
 
7. サマータイム導入による主な課題
1) 午後の明るい時間が長くなることにより、人々の活動が活発化する(経済波及効果が大きい)。これにより、エネルギー消費の増加も当然発生するが、省エネ効果として原油換算で93万klの削減となる。
2) 制度導入に伴う切り替えコスト
1. 交通信号機(約350億円、但しいずれ古くなり順次新型にかえていくので費用の前倒し発生と考えればよい。)
2. 各企業、団体、官庁、金融機関等のコンピューターなどの諸システムの調整・改修費用。
3) 国際航空路線の発着時間の調整 発着調整が必要であり、IATA(国際航空運送協会)の航空交渉を2回程経る必要がある。
4) 上記の2)〜3)は世界中のサマータイム実施国で導入時に発生しているものであり、各国と同様に最初の導入時に費用が発生するのは致し方なく、公的な経費は国がしっかりとした予算措置を行うべきものである(法案第4条に明記)
5) 時計の問題 「各家庭には時計が多数あるため、春と秋のサマータイム切り替え時に時計の針を1時間進めたり遅らせたりすることは大変だ」との声が必ず出るが、
1. 時計の調整をすることは、サマータイム制度の目的(省エネ、温暖化対策)を認識してもらう良い機会となる(特に子供達への教育効果)。
2. 今や電波時計が急速に普及しており、時計の針を個人がいちいち調整しなくても、標準電波を受信し自動的に調整出来るようになっている。
3, 「家電製品やIT製品など、時計が組み込まれているので調整が大変である」……これについては既に海外使用製品はサマータイム対応型となっており、国内向けも順次その様な仕様にすれば解決する。最近のビデオなどのタイマーは、NHKの時刻に合わせて自動的に時間調整をする機能を持つものが多くなっている。
 
8. 終わりに
1) 政府は「骨太の方針」で「京都議定書削減目標の確実な達成に向けてサマータイムの早期実現を検討する」との方針を明示。実施に当たっては「残業時間の延長につながらないようワーク・ライフ・バランスの取り組みを並行して進めること」としている。 また、平成20年3月28日改定の「京都議定書目標達成計画」においても「サマータイムの導入」について「環境意識の醸成と合意形成を図る」としている。
2) 今や地球温暖化対策は全地球的課題であり、日本としては「出来ることは全て行う」という決意と実行が大切である。その様n意味からも「洞爺湖サミット」を間近に控えて、日本がサマータイム制度を導入することを表明することは世界各国からも高く評価されるであろう。
3) サマータイム制度の導入に当たっては、国民全ての生活に関わることでもあり、十分な広報活動と準備が重要である(法案第3条に明記)。
4) 現在は労働時間については労働基準法で細かく定められており、サービス残業など規定に反する労働は行えない。 サマータイム制度導入により労働時間意識が向上し、生産性向上にもつながる。働く時間と余暇時間を上手に活用し、ワーク・ライフ・バランスの実現につながる。 サマータイム制度の導入に当たっては、これにより過度の労働時間増加とならないよう、事前に関係機関へ周知徹底させることが必要である。 なお、議連で作成した法案には
1. 労働時間の増加にならないよう注意する(第3条)
2. 3年後の見直し(第6条) に2点について規定し配慮を行っている。
 
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