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2007/2/7
先日、日本弁護士連合会の弁護士業務総合推進センターの立法プロジェクトチームの皆さんが来館され、弁護士会がより積極的に立法活動に参加していくためにはどうしたら良いのか、とのご質問がありました。 国会は立法の府であり、国会議員はlaw makerです。法律実務家である弁護士=lawyerが、積極的に国の立法活動に参加することは、わが国の立法の質を高めることに多いに役立つと確信しております。 今日は、国会や自民党において、どのように具体的に立法のための活動が進められているのか、特に国会議員が中心となって進める「議員立法」の流れやそのカンどころなどについてお話してみようと思います。 |
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問 | まず、議員立法の流れを教えて下さい。 |
早川 | はじめに議員がアイデアを出して、法制局がこれに基づいて具体的な法律の要綱を作成します。要綱段階で関係議員の意見がまとまれば、これを条文化して自民党の部会にかけられます。部会で承認されると自民党の政調会を経て総務会で正式に決定ということになります。 なお、こういうとき、民主党や公明党と事前に話ができていると早く決まります。自民党の総務会で承認されるとようやく国会に法案として正式に提案されます。なお、提案者が参議院議員であれば参議院に、衆議院議員であれば衆議院に、議員提案ということになります。全政党が法案に賛成の場合は、議員提案という形ではなく、委員長提案ということもあります。 |
問 | 議員以外の関係団体や一般の国民の方々が、「この案件はなんとしても議員立法で!」と思うようなことがあった場合、どういう議員に働きかけたら良いのでしょうか。 |
早川 | まず、与党、特に自民党の議員とのパイプが重要です。野党議員10人よりも、自民党の議員1人の方が立法のうえでは大きな意味を持ちます。 |
問 | それは何故ですか? |
早川 | 法案の策定やその実質的審議をしていくのは与党で、これを批判するのが野党という枠組みになっていますので、単なる提案にとどまらず、現実に法律を成立させようということであれば、どうしても与党の議員でなければ役にたちません。弁護士会としては、与党の国会議員を作るということが最も大事でしょう。与党の議員が5人もいればたいていのことは通るでしょう。 |
問 | しかし、「作る」といっても、すぐすぐには難しいですね。 |
早川 | やはり、議員との個人的な信頼関係が大事になりますね。 幸い、弁護士会も与党議員とのパイプ作りを進めてこられていますので、昔よりははるかに信頼関係ができたと言っても良いでしょう。 今の時代は、昔とは違い、とても正論が通りやすくなってきていると思います。まず議員にアプローチし、議員を十分説得して頂きたい。そのためには、普段から議員との信頼関係を築く必要があります。 |
問 | なるほど、わかりました。ところで、内閣法制局の外に衆議院や参議院にも法制局があると聞いておりますが、それぞれどう違うのですか。 |
早川 | 内閣が法案を提出する時に、法案の事前審査をする内閣の機関が内閣法制局です。衆議院の法制局は、衆議院議員が提出する議員立法の手伝いをするところ、参議院の法制局は、参議院議員の提出する議員立法のお手伝いをするところです。 |
問 | なるほど。ところで、国会議員に説明する時に気をつけておいた方が良いことはありませんか。 |
早川 | 資料を一度にたくさん出すのはあまり良くないと思います。大事なことは30分で決まると思っていてください。その30分間で国会議員を説得できるような簡潔で、要領の良い資料を作ることが肝賢ですね。 |
問 | 具体的にどのくらいの量にすればよいのでしょうか? |
早川 | ペーパーの枚数で言うと2〜3枚程度といったところでしょうか。それにしても国会議員との信頼関係がなければ、その30分間の面会時間もなかなか取ってもらえませんので、平素から信頼関係を構築しておく必要があります。 |
問 | なるほど。親しい議員に話しをするときに、見やすい、わかりやすいペーパーが必要になるのですね。 |
早川 | その通りです。あまりごちゃごちゃしたペーパーではなかなか納得してもらえないし、納得しなければ、議員は動きません。法案は、実際は5人くらいの有力な議員がどう動くかで決まってしまうところがあります。逆に言うと、5人くらいの国会議員が真剣に取り組めば立法ができるというところもあります。 |
問 | 信頼関係があると、どのような利点があるのですか? |
早川 | 親しい議員に自民党の部会に出席してもらって、発言をお願いできる関係になります。法案審議の時に国会議員がどんな発言をするかで法案の行方が決まってしまいます。 組織犯罪収益流通防止法案、いわゆるマネーロンダリング規制法案については、私の発言が引き金になって警察庁に対しての届出義務を負う対象者から弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などを除外するということになりました。 |
問 | 弁護士会にとって大変重要な法案です。弁護士が依頼者を密告するということになると、弁護士に対する国民の信頼が根底から崩れてしまいます。早川さんの発言が引き金となって、警察庁が方針変更をされたと聞いております。本当にありがとうございました。 ところで、早川さんは、その外にこれまでどのような立法に携わってこられましたか。 |
早川 | 裁判員法の審議がまず最初ですね。裁判員制度を導入するにあたって裁判官と裁判員の人数をどうするかという問題がありましたが、裁判員制度の導入に反対する意見も強く、意見の取りまとめが出来ないために法案自体がつぶされそうになったことがありました。偶々私はその時の部会に出席しておりましたので、裁判員制度を導入することの意義や司法改革における裁判員制度の重要性について繰り返し発言をさせて頂きました。すると、先輩議員が私に応援の発言をして下さって、当初ほとんどの出席議員が裁判員法に反対だったのに、これで流れが変わった、ということがありました。 また、証券取引法の改正で、継続開示義務違反に課徴金制度を導入しようとしたら、内閣法制局が疑義を唱え、結局内閣提出の法案としては閣議了解がとれないということがありました。そこで、金融庁は継続開示義務違反に対する課徴金制度の部分は削除して法案を作成し、その案で閣議決定がなされ内閣提出の法案として衆議院に提出されましたが、衆議院の委員会の審議の過程で議員修正するということにしました。 その外にも、日本歯科医師政治連盟の橋本派に対する闇献金事件が明らかになり、政治家に対する国民の不審が募った時に政治資金の一層の透明化を図るため政治資金規正法の改正をすることになりましたが、その時、私が政治資金規正法改正案の提出者となりました。 その外にも部会の審議の中で政府の原案を大幅に修正させた、という経験も何度かしております。昨年の臨時国会で成立した貸金業規制法の改正はその典型的なケースですね。 |
問 | なるほど、国会議員の部会での発言というのはとても重いんですね。 |
早川 | そのとおりです。自民党の部会で審議する法案は多岐にわたっており、専門家の力がどうしても必要です。とても私一人でできることではありませんから、多くの同志と共にこれからもしっかり勉強し、国民にとってより良い法律ができ上がるよう努力して参りたいと思っております。 |
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