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急がれる地球温暖化対策
 −エネルギーと環境保全を両立させる技術体系の確立に向けて−

2006/12/28

地球温暖化については、テレビや新聞で大きく取り上げているのはご存知かと思います。温暖化がもたらす影響は何なのでしょうか。
早川 北極、南極の氷が溶け、海面が上昇し砂浜の面積が徐々に少なくなり、住めなくなる地域が増えてくると思います。世界平均では、過去100年で0.6℃の気温が上昇し、このままの状態が進行していくと、2100年には海面が9~88cm上昇し兵庫県の砂浜は最大98%がなくなり、気温は1.4℃〜5.8℃上昇すると言われております。そうなりますと、砂漠化や洪水など、降水量の変化、飲料不足が更に深刻になり、干ばつ、豪雨等被害が更に激しくなってきます。食料生産への影響もあり、人への影響では、老人の熱射病が増加、マラリア、テング熱といった熱帯性病気が流行する恐れがある等、たくさんの影響が出てくることになります。
手遅れにならないように対策をしていく必要がありますね。主な原因は、発展途上国等による化石燃料の消費が増加したことだと思いますが、早川さんは、資源の枯渇や地球温暖化をどう見ていますか。
早川 きわめて深刻な問題だと思います。持続可能な地球環境をつくるという観点から早急に対策をとって、地球の温暖化を阻止しなければならないと思います。このために、節電はもとより、省エネルギー技術の開発、原子力の利用促進など様々な対策が必要です。代替エネルギーの開発も重要で、バイオエタノールが話題を呼んでいます。
バイオエタノールというのは何ですか。
早川 農作物や木材といった有機生産物を原料として産生するアルコールのことです。ブラジルではすでにサトウキビから作ったバイオエタノールが、自動車の主燃料として使われております。石油は燃やせば二酸化炭素を排出するだけですが、バイオエタノールは農作物の生産によって二酸化炭素を吸収したものをエタノールの燃焼によって排出するだけですので、バイオエタノールは大気中の二酸化炭素濃度を上げない、環境に優しい燃料です。
日本でも3%を上限としてエタノールをガソリンに混合することが認められていますが、価格、安定供給の両面からあまり普及しておりません。政府はどのような対策をとっているのですか。
早川 バイオエタノールが普及した場合、仮にエタノールを3%ガソリンに混合すると、年間38キロリットルのエタノールが必要になる計算です。しかし、これだけの量を安定供給するのは容易ではありません。政府としては、世界一のバイオエタノール生産国であるブラジルと交渉を続け、両国合弁のエタノール供給会社をつくり、エタノールの安定供給を図っていくことを検討している段階です。
国内でも、石油連盟が中心となって生産・流通・販売にいたるまでインフラ整備を急いでますね。自動車メーカーでも10%エタノール混合に耐える仕様への切り替えが始まっていると聞いていますが。
早川 そうですね。来年夏から試験的にエタノールの供給が始まる予定で、平成22年には本格的に普及する見込みです。
日本では、バイオエタノールの生産は、行われているのですか。
早川 沖縄の伊江島ではサトウキビからエタノールを生産し、島内の必要量を自給できるところまで来ております。その他にも、砂糖の原料である甜菜(砂糖大根)や、家畜の飼料に使われている規格外小麦、甜菜などが原料として注目されています。
サトウキビの他にも種類があるのですね。エタノール精製工場に対する補助も検討され、着実にバイオエタノールは市民権を得つつあるようですね。
早川 そうですね。バイオエタノールについては、新たなビジネス市場を生むのではないかと大きな期待が寄せられているところです。ブラジルでは、バイオエタノールの生産に関して、サトウキビの生産もエタノールの精製も非常に原始的で、改良の余地があると言われておりますので、バイオエタノール生産の技術を確立し、それを逆にブラジルや東南アジアに輸出するということなども考えられます。その他にも、国内における生産原料として米を使い、休耕田対策と万一のための食糧の安全保障に充てるアイデアなども出されています。
バイオ燃料といっても、その形態には様々あるようですね。
早川 バイオ燃料は、バイオエタノール、バイオエタノール混合ガソリン、バイオディーゼルの3つに分けられます。アメリカでは、ガソリンと9対1で混ぜた、E10燃料にバイオエタノールを使用しており、また、ヨーロッパでは、バイオディーゼルの利用が促進され、バイオ燃料実用化の道が模索されています。  バイオ燃料の利点は、糖質から発酵して作られるエタノールと、原料を燃焼することで出るガスを改質してつくられるメタノール、共に光合成をして成長した植物を原料としていることです。植物は、二酸化炭素を吸収しているので、燃やしても二酸化炭素の排出を増加させないということになります。
二酸化炭素の排出量が増えないということは、化石燃料のように埋蔵量に限りがあるものとは異なり、半永久的に燃料の原料を確保できるということですね。
早川 政府では2003年に「バイオマス、日本総合戦略」を策定し、石油に代わる環境にやさしいエネルギーとしてバイオ燃料を位置づけ、自動車燃料としての利用を促進しております。バイオ燃料車の利点は、硫黄酸化物がないこと、そして、一酸化炭素、炭化水素、つまり、すすや黒煙が少ないこと、が挙げられます。
なるほど。ところで、バイオエタノールの普及に何か支障となることはありませんか。
早川 ガソリンと比べると、大量生産したときに割高になることが予測されることですね。貯蔵タンクや供給方式、車両などのインフラを大幅に変更しなければならいので、多くの投資が必要になります。また、アルコールによる金属の腐敗や水分の流入による成分の分離もありますので、従来のガソリン車に比べると燃費が悪かったり、蒸気圧が低いので冷間時の始動が悪いなど、運転性能の確保の点で課題があるようです。
バイオエタノールの他に、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
早川 石油元売会社と自動車メーカーがタイアップして、水素エンジン車のリースを始めています。余りにもコストがかかりすぎるなど克服すべき課題が山積しておりますが、実用に耐える燃料電池を早急に実現し、これを普及させることが最も重要だと考えております。 なお、わが国では燃料電池自動車や定置用燃料電池の実証試験が国家プロジェクト規模で推進されており、自動車、電機、石油、ガス、鉄鋼など日本を代表する企業がこれに参画し、燃料電池自動車の走行試験や水素ステーションの実証運転、灯油、LPガス、都市ガス型定置用燃料電池の実証試験等に取り組んでいるところです。
ここで得られたデータや知見が、燃料電池の普及や次世代技術の開発に活かされるわけですね。
早川 そうです。燃料電池の普及や水素供給ステーションの整備は、わが国のみならず、世界のエネルギー政策に大きく貢献するのではないかと期待しております。
そうですね。これからは日本の国だけの繁栄を目指すというのではなく、地球全体に視野を拡げて地球温暖化に取り組んでいかなければいけませんね。
早川 同感です。私たちは今、地球規模でものを考えるべき時代を迎えております。自分だけ良ければ良い、日本だけ豊かであれば良いという時代ではありません。地球全体に視野を拡げると共に、将来の世代に対しても責任を持つ、未来志向の政治を実現していかなければならないと思っております。
 
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