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防衛庁の省昇格法案がいよいよ成立へ!
 

2006/12/08

11月30日に今臨時国会の最大の目玉の一つと言われた防衛庁の省昇格関連法案が衆議院本会議で可決され、この臨時国会で成立する見込みと言われておりますね。
早川 臨時国会の会期は12月15日までですが、会期内成立に向けて参議院での審議も精力的に進められているようです。ご承知のとおり、防衛庁の省昇格関連法案は、国の安全保障に関わる重要法案です。去る7月5日に弾道ミサイル発射実験を強行した北朝鮮が10月9日には地下核実験を行い、わが国に対する核の脅威が飛躍的に高まっております。そのような状況の中で、防衛庁が省に昇格することにより、わが国の安全保障体制の強化に向けた取組みが一歩前進することになります。
民主党の賛成もあり、圧倒的な多数で衆議院を通過したと聞きましたが、民主党の内部にはまだ、この法案に反対の声もあると聞きましたが。
早川 民主党の旧社会党系の一部の議員は、この法案に反対の意思を示し、衆議院本会議での採決に欠席したり、採決の際に着席(反対)のままだったと聞いております。民主党内には防衛庁の省昇格に対し意見の対立があると言われておりましたが、まさにこれが露呈したわけです。国民の生命・財産に関わるような基本的な問題について、いつまでも明確な方針を打ち出すことができない民主党にはそもそも政権担当能力があるとは信じられません。
今回の防衛庁の省昇格関連法案では、自衛隊の海外派遣をこれまでの「付随的任務」から「本来任務」に格上げすることも決められました。「付随的任務」から「本来任務」に変わるということはどういうことでしょうか。
早川 国連の平和維持活動に対してわが国が積極的に協力することは、国連の加盟国として当然の責務と考えております。これまで自衛隊は、専ら日本の国土防衛のための存在であると位置付けられておりました。しかし、ソ連が崩壊し、東西の冷戦構造が変容する中で、国際社会の新たな安全保障体制の構築が求められるようになりました。自衛隊は、1992年9月にはじまったカンボジアでの国連平和維持活動にはじまり、モザン ビーク、ルワンダ、ゴラン高原、東ティモールの国際平和維持活動や人道的な国際救援活動に従事し、2001年の9.11以降は、国際テロ防止活動に従事している米軍等の艦船に対し、テロ特措法に基づいて自衛隊艦船による給油活動を継続的に行ったり、イラク特措法に基づいてイラク・サマワの人道復興支援活動に従事するなどしてきました。こういった自衛隊の海外任務の実績を踏まえて、言わば「副業として位置付けられてきた付随的任務」から、国土防衛や国内災害派遣と同格の「本来任務」に格上げしようというのが、今回の自衛隊法改正案の中身です。
「本来任務」となる自衛隊の海外任務とはどのような活動を指すのでしょうか。
早川 自衛隊の海外任務とは、1. 国際緊急援助活動、2.国連平和維持活動、3.周辺事態の後方支援、4.テロ特措法に基づく活動、5.イラク特措法に基づく活動のこと、を言いますが、先に述べたとおり自衛隊の海外任務は徐々に拡大してきました。自衛隊が海外でどのような任務につくことが出来るのかについて議論があり、政府として明確な方針を確定し得ていない状況のように思われますので、今後は自衛隊の海外任務のあり方について総合的に検討する必要があると考えております。
ところで、現在の防衛庁の組織について簡単に教えてください。
早川 防衛庁は、内閣府の外局であり、内閣総理大臣が最高指揮監督権を持ち、防衛庁長官が隊務の総括をしています。陸・海・空の三自衛隊があり、統合幕僚長を頂点とした指揮命令権を持つ統合幕僚監部がこの総括組織として置かれております。自衛隊は、専守防衛に基づいて国民の生命と財産を守ることを基本理念としています。
自衛隊の隊員数はどのくらいですか。また日本の国防費は世界第4位であると聞いたことがありますが本当ですか。
早川 自衛隊の兵力としての現役自衛官は、陸上自衛隊は約15万人、海上自衛隊・航空自衛隊はそれぞれ約4万5千人、計約24万人です。防衛費は4.83兆円(2005年度)であり、アメリカ、ロシア、中国に続いて世界第4位となっております。日本のGNPに占める国防費の割合は1%であり、世界第134位となっています。
今、なぜ防衛庁を省にする必要があるのか、改めてお伺いします。
早川 北朝鮮のミサイル発射や不審船問題、米国同時多発テロなど様々な事件が発生する中で、如何にして国民の生命と財産を守るか、更には日本のみならず世界の平和を如何にして実現するかが重要な課題となってきております。これからは日本一カ国だけで日本の安全保障を実現することは困難であり、国連の安全保障の枠組みが益々重要となってきます。しかし、国連の安保理事会の常任理事国には拒否権が認められており、五大国の意見が一致しない場合は国連の安全保障の枠組みが十分機能しないことになります。わが国としては、日米安保条約の下、アメリカとの同盟関係を基盤に日本の安全保障体制を構築しておりますが、これからはもっと国際的な協力の枠組みを作り上げていくことが求められております。そのような国際情勢の変化の中で、わが国の危機対処能力を抜本的に強化するために防衛庁を省に昇格させて、諸外国の安全保障に携わる機関と対等の組織にする必要があると考えております。
防衛庁を省にすることでどのようなことが変わるのですか。
早川 防衛庁長官は内閣府の外局の長でしかなく、防衛庁には「主任の大臣」は置かれておりません。このため、1.国の防衛に関する重要案件について閣議を求める、2.法律の制定や高級幹部の人事について閣議を求める、3.予算の要求や執行を財務大臣に求めるなどの重要な仕事は、内閣府の主任大臣である総理大臣を通じなければ出来ない仕組みになっております。省になることで、国防についての主任の大臣が置かれることになり、様々な内部手続の簡略化が計られるとともに、迅速な対応が可能となります。
今回の防衛庁の省昇格法案や、最近の国際社会の動きなどから、わが国が再び軍事大国化しないかが心配ですが。
早川 防衛庁の省昇格は、あくまで中央官庁での位置付けが変わるだけで、シビリアンコントロールや専守防衛、海外派兵の禁止や非核三原則など、わが国の防衛に関する基本政策には何ら変更はありません。国土の四方を海に囲まれ、食料の60%、エネルギーの96%を海外に依存せざるを得ない日本にとって、国際社会の平和と安定はわが国の存続にとって不可欠の条件です。防衛庁が省になっても、国際協力や、国際平和を基調とするわが国の国是(基本方針)は決して変わることはありません。
省昇格法案が衆議院を通過した翌日に、自衛隊員の私物パソコンから航空自衛隊の訓練情報がネット上に流出したというニュースがありました。このような不祥事に対してしっかりとした対応をして欲しいと思います。
早川 そうですね。わが国の安全保障を担うためには、諸外国との連携・協力を密にすることが重要です。わが国の情報管理体制に穴が開いていたのでは、到底国際社会から信頼を得ることができません。 防衛庁省昇格法案がこの臨時国会で成立すれば、来年1月から防衛庁が防衛省に移行することになりますが、わが国の防衛に携わる方々には自らが従事されている業務に誇りを持つと共に、その責任の重さを十分認識頂き、このような不祥事を起こすことがないよう再発防止に全力で取り組んで頂きたいと思います。
 
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