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2006/10/18
問 | 安倍総理が10月8日に中国を訪問し、胡錦濤国家主席と日中首脳会談を行いました。小泉政権では史上最良の関係を築いたと言われている日米関係とは裏腹に、靖国神社問題等で日中関係は決して良いものとは言えませんでした。今回の日中首脳会談は今後の日中関係にどのような影響を与えそうですか。 |
早川 | 安倍氏が総理に就任して初めての首脳外交が始まりました。日本の首相が中国を訪問するのは約5年ぶりのことで、最初の訪問国を中国にしたことは、小泉元総理が不得手としたアジア外交を、安倍政権では重視していこうとする現れであると思います。 |
問 | 今回の日中首脳会談では、主にどのようなことが話し合われたのですか。 |
早川 | 会談では、テロや紛争、環境問題、犯罪組織集団への対処など、国際社会の中で累積する課題を克服するための話し合いが行われ、日中共通の利益を追求するための「戦略的互恵」の関係を構築することで一致しました。これまで隔たりのあった日中関係が、大きく一歩を踏み出したことは安倍新政権の大きな功績になると思います。 |
問 | 日本と中国の間では、常に歴史認識の問題が常に「足かせ」のように付きまとうように思います。安倍総理はこの問題に関してはどのように考えておられるのでしょうか。 |
早川 | 安倍総理は、歴史認識の問題について、「わが国はかつてアジアの諸国の方々に多大な損害と苦痛を与え、傷跡を残した。このことに対する深い反省の上に戦後60年の歩みがある」と述べております。 |
問 | 中国は、小泉総理の靖国神社参拝について「中国・アジア国民の感情を傷つけた」として非難したうえで、安倍総理には靖国神社には参拝しないでほしい、と要請したとのことですが。 |
早川 | 安倍総理は、靖国神社参拝については、これを日中間の政治問題化させないとの強い意思の下に明言を避けられました。(靖国神社に)行くか行かないかを表明しないというのも、外交上の一つの重要な手段であると思います。行かないと言えば国内でいろいろな問題が浮上し、行くと言えば中韓両国やアジアの国々から強い非難の声があがるということを、重く受け止められているのだと思います。 |
問 | この度の訪中で日中関係は大きく前進したと思いますが、中国とは尖閣諸島をめぐって深刻な領土問題があるのではないですか。 |
早川 | わが国としては、尖閣諸島の実効支配をしており、歴史的にも日本領土であることが明確で、日中間には領土問題はない、という立場です。しかし、1971年になって東シナ海に眠る地下資源の可能性が確認されことから、中国が領有権を主張するようになったのです。 尖閣諸島の魚釣島には、日本政府が管理している灯台(1978年に日本青年社が建設したもの)や日の丸国旗のプレートが設置されており、尖閣神社もあります。中国が発行した社会科地図には、地下資源が確認される以前の1970年の南西諸島の部には、"尖閣諸島"と記載され、国境線も尖閣諸島と中国との間に引いてあったとのことです。尖閣諸島には、1880年代後半から1940年にかけて古賀 辰四朗という日本人が建設した船着場や鰹節工場などもありました。 ですから、私は尖閣諸島は日本の領土であるという日本政府の主張が正しいと考えております。しかし、地下資源が確認された以後1971年の中国の南西諸島の地図では、尖閣諸島は"釣魚台"と記載されており、国境線も日本側に曲げられております。残念ながら、尖閣諸島の領有問題は、日中間の大きな懸案事項の一つとなっており、その解決は容易ではありません。 |
問 | 中国が、日本の排他的経済水域(EEZ)や領海に侵入し、不法な調査活動を行うようになっていることも大きな問題ですね。 |
早川 | そうですね。東シナ海における海洋権益をめぐる中国の一方的かつ強引な行動は、わが国として看過できない大きな問題です。しかし、そのような問題があることを十分認識したうえで、両国間で話し合いを続け、合意点を見出す努力をすることが重要です。 |
問 | ところで、わが国は、長年にわたって中国に対し、多額の政府開発援助(ODA)を行ってきましたが、中国の一般の国民は、このことを知らないようですね。 |
早川 | そうですね。中国に対するODAは、1979年に開始され、これまでに有償資金協力(円借款)を約3兆1331億円、無償資金協力を1457億円、技術協力を1446億円、総額約3兆円以上のODAを実施してきました。中国に対するODAは、中国の改革・開放政策を支え、中国を対外的に開かれた国にすることでした。いまや中国は、WTOに加盟し、貿易総額は日本を抜いて世界第二位に躍進しておりますので、今後は、「戦略的互恵関係」の構築を念頭に、環境問題や海洋資源開発等についての共同事業を進める方向に転換するのが良いと思います。 |
問 | 2008年には北京オリンピックが、2010年には上海万博が開催されますね。中国は、今後ますますアジアの中で超大国としての地位を獲得していくと思われますが、そのような中で日本は中国とどのように付き合っていくべきでしょうか。 |
早川 | 北東アジアには、北朝鮮という、わが国にとって極めて危険な国家が存在しております。東アジアの平和と安定のためには、何といっても日中両国の、未来志向の相互協力、相互依存の関係の構築が不可欠です。今回の首脳会談の開催が日中双方にとって共存共栄の、「戦略的互恵関係」に結びつくよう私も努力して参る所存です。 |
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