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国際社会の平和に大きく貢献する日本外交へ!
 ―北朝鮮の地下核実験の強行という新たな事態を踏まえて―

2006/10/10

10月9日、北朝鮮が地下核実験を行い、世界は、新たな事態を迎えました。今年の7月に、北朝鮮は相次いで5発ものミサイルを発射したばかりで、世界の平和に対する明らかな挑戦ですね。
早川 今回の北朝鮮の核実験に対しては、世界の多くの国々が、「強い懸念」を表明して参りました。とりわけアメリカは、「核の保有は到底容認できず、もし核実験が実行された場合、断固とした対応を取らねばならない」と、強いメッセージを送っていたところです。日本政府も、この問題を深刻に受け止め、日本が議長を務める国連安全保障理事会では、「北朝鮮の核計画の放棄を要請し、もし核実験が行われた場合には、国連憲章の下での制裁措置を執る」とした議長声明を出したばかりでした。
これ以上、北朝鮮の横暴を許さないためにも国際社会がまとまって行動を起こし、問題解決に当たることが大切だと思いますが。
早川 今回の核実験の問題だけでなく、世界の安全と平和を維持するために、国際社会が一致結束した行動をとれる体制を早急に構築することが求められます。現在、これを実現できるフレームワークは国際連合(国連)しかなく、その中でも安全保障理事会の役割が極めて重要です。
9月29日に行われた安倍新総理の所信表明演説の中に、「日本の国連安保理事会常任理事国入り」「21世紀に相応しい国連創りのための国連改革の推進」という、国連に対する熱いメッセージが込められていましたね。
早川 国連は、第一次世界大戦後に成立した国際連盟の失敗の反省を踏まえ、先の大戦の終結の年である1945年10月24日に、国際社会の平和と安全の維持や、人権の保護など、国際的な共通の課題を達成することを目的として設立されました。 しかし、近年大量破壊兵器の拡散や国際テロリズム、国際組織犯罪など地球規模での諸問題が発生する中で、国連の機能不全が強く指摘されるようになっており、国連改革の必要性が叫ばれております。国連は今大きな岐路に立っていると言えます。
あまり注目されておりませんでしたが、今年2006年は、日本の国連加盟50周年にあたりますね。日本が国連加盟を果たすまでには、大きな紆余曲折があったと聞いておりますが。
早川 当時は冷戦の真っ只中であり、東西両陣営の勢力伸張のせめぎあいの中で、いわゆる西側の陣営に所属する日本は、ソ連の拒否権の行使によって何度も国連加盟の機会を逸すこととなりました。冷戦が緊張の度合いを増した1951年から54年までの間に国連に加盟できた国は一つもありませんでした。終戦から11年後の1956年日ソ共同宣言が採択され、その中で日本の国連加盟に対する支持が明記され、ようやく同年、日本は80番目の加盟国として国連に加盟することとなったのです。
その後アメリカとソ連は、核の保有を競い合い、キューバ危機のように核戦争の一歩手前のところまで関係が悪化するように、東西両陣営の緊張が高まりましたね。このような国際環境の中で、国連は十分とその役割を果たせたのですか。
早川 国連の最重要案件を審議する安全保障理事会では、アメリカの提案にはソ連が拒否権を行使し、他方ソ連の提案にはアメリカが拒否権を行使するような状況となり、国連は事実上機能不全に陥ってしまいました。
国連が機能不全に陥る中で、日本は自国の安全保障を、どのように考えてきたのでしょうか。
早川 国連に平和実現の可能性を期待していた日本ですが、現実には、東西冷戦下にあることを真剣に受け止め、日米同盟を中心とし、自由主義諸国の一員となることで自国の安全保障を確保して参りました。
そういえば、2003年3月に大量破壊兵器を保持しているとしてイラクへの武力行使に踏み切った際に、安全保障理事会の決議を経ずに行ったことが問題とされていましたね。国連は、本当に国際社会にとって必要とされている存在なのかと疑問に感じますが。
早川 国によって国連の位置付けは異なります。アメリカはイラク戦争からもわかるように、国連を、必要な時には活用し、国連の迅速な行動が期待できない時は、アメリカの方針に同調する国々(有志連合)と共に行動を起こしてきました。一方、イギリスやフランスは、常任理事国という立場を自ら大国であることの証としているため、一貫して国連に敬意を払った行動をしております。
他の常任理事国である、中国やロシアはどうでしょうか。
早川 中国は経済的に大きな成長を遂げ、今や国連においてアメリカに対抗しうる地位を確立しようとしております。国連安保理では、アメリカの牽制役としてその存在感が年々大きくなっています。一方、ロシアは、ソ連崩壊後、大幅な国力の低下を招き、チェチェン紛争等国内問題を抱えていることもあり、国際的な舞台での活動の場が少なくなってきていると言えるのではないでしょうか。もっとも、安保理事会の常任理事国として拒否権を持っていることから、依然として国連において重要な存在となっておりますが。
国連の憲法とも言うべき国連憲章がありますが、国連憲章の中では、国連の主目的である平和と安全の維持についてどのようなことが記載されているのですか。
早川 平和と安全の維持について様々な取り決めがなされています。国際連盟の当時には存在しなかった国連の決議に違反する国に対する国連の様々な制裁措置が規定されており、更には、国連軍の創設まで規定されております。ただし、国連軍は、指揮権の帰属の問題や各国の軍備負担の問題等があり、現在まで創設されておりません。
国連は第二次世界大戦の戦勝国国家の連合であるため、現在でも日本などの敗戦国を仮想敵国とした旧敵国条項が存在すると聞きましたが。
早川 そのとおりです。敵国条項は、第二次世界大戦において連合国の敵国であった国が国連憲章に違反した行動を行なった場合は、連合国の構成国は、国連決議に拘束されずに、無条件に軍事制裁を課すことができるとした規定です。国連憲章53条と107条がこれに該当します。日本政府としては、国連改革によって何としてもこの敵国条項の廃止を実現しなければならないと考えております。
安倍総理は、日本の常任理事国入りについて積極的な姿勢を示しているようですが。
早川 国連創設時には51カ国だった加盟国が、現在では192カ国となっており、国際社会における国連の果たす役割は、質・量ともに大きくなっています。 しかし、事実上の国連の最高意思決定機関である安全保障理事会の常任理事国の顔触れが変わらないため、国連の機能が著しく低下していることは否めず、今後、多様化する国際問題に対して国連に十分その対応能力があるか、疑問です。日本を含め、国際的な問題の解決のために真に必要な能力を有する国々が常任理事国になることが、国連安保理の活動の機動性と実効性をもたらし、更には国連全体に対する信頼性を増すことにもつながります。
日本(分担金拠出3億332万ドル)はアメリカ(分担金拠出4億2350万ドル)についで第二位の国連分担金拠出国だと聞いておりますが、果たしてこの拠出金額は妥当でしょうか。
早川 国連の分担金は、その国の経済力に応じて3年に一度、総会分担金委員会の助言をもとに、総会で分担率を決定します。2003年に決まった04年から06年までの日本の分担率は、19.468%ですが、これだけの経済的貢献に見合うだけの受益が日本にあるかということについては、ご指摘の通り疑問を述べる声が大きくなっております。
国連事務総長を10年間勤められたアナン氏が12月末で任期を終えられ、新たに韓国の潘基文(パン・ギムン)氏が事務総長に選任されるということのようですね。
早川 潘基文(パン・ギムン)氏(62歳)は、現在、韓国の外交通商相で、知日派として知られる穏健な人物と伺っております。潘氏が事務総長に選出されれば、アジアからウ・タント氏(1961年〜71年)以来二人目の事務総長となり、東アジアからは初の国連のリーダーの誕生となります。
韓国出身の国連事務総長が選出されることで、北朝鮮の核問題の全面解決への糸口につながることを期待したいですね。
早川 国連のトップが北朝鮮の隣国である韓国から選出されることによって、世界の目はますます東アジアに向けられることになるでしょう。日本政府としても北朝鮮核問題の解決に向け、潘氏の手腕に大きな期待を寄せております。
北朝鮮が地下核実験を強行したということで、せっかくの安倍訪中、訪韓の意義が大分損なわれたのではないでしょうか。
早川 私は、今回の安倍総理の訪中、訪韓による首脳外交の積極的展開には大変大きな意義があったと評価しております。万一胡錦濤主席や慮武鉉大統領との会談が実現していなければ、北朝鮮の核実験強行という新たな事態を受けての国連安保理事会や国際社会の迅速な対応ができず、結果的に北朝鮮に、どんなことをやっても国際社会は何も有効な対抗措置を発動できない、という誤ったメッセージを発信し、それ以上の暴走を許す結果になったのではないかと思います。    日本のみならず国際社会の平和と安全のために、これからも安倍総理には積極的なアジア外交、国連外交を展開していただきたいと念願しております。
 
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