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日本の教育問題について

2006/04/14

今年も桜の花が一斉に咲き誇りました。受験生も多くの桜を咲かせることができたと思います。ところで、大学志願者数が大学の入学者数を上回る「大学全入時代」が2年早く訪れたと聞きましたが、その背景を聞かせてください。
早川 文部科学省の試算では、2009年度に志願者数と入学者数が約70万7000人で同数になるとの見通しを立てていたのですが、昨年の7月にこれを2007年度と修正しました。その背景には、少子化と進学率の頭打ちの影響での志願者数減少の一方で、私立大学が定員増加を増加しているためです。
大学教育を受けたい人にとっては朗報かもしれませんが、大学側にとっては学生獲得の激しい競争が行われていると思いますが。
早川 大学全入時代と言いましても、実際には人気校に志願者が集中してしまいますので、「志願者の全員入学」とはなりません。一方で不人気校は定員確保が一層困難になることや、株式会社による大学市場への参入が可能になり、大学経営の競争は今後も加速してゆくでしょう。
大学に行きたい、いい仕事に就きたいといった希望を持つ若者もいれば、最近では職にもつかない、何もやる気のないニートも多いようです。
早川 ニートとは「仕事に就かず通学もせず職業訓練も受けていない」状態を意味する英熟語の頭文字(NEET)を取った言葉です。厚生労働省の労働経済白書によると、このような若者は2004年で大学卒業者も含め64万人に上るとされています。
ニートの増加によって社会にどのような影響が出てくるのでしょうか。
早川 少子高齢化が進み、これまで以上に若者の社会的な役割が大きくなる中で、自立できない若者の増加は、1. 税収の減少、2. 年金制度の不安定化、3. 格差社会の拡大、4. 個人消費の低迷、5. 経済成長率の鈍化、6. 犯罪増加による社会不安など、数多くの悪循環を生み出すと思われます。
日本の教育は世界に誇れる教育だったと聞いておりますが、その起源はいつのころからだったのですか。
早川 日本の市民一般が学校教育を受けられるようになったのは、江戸時代の寺子屋教育からです。江戸時代の経済の発展に伴い、身分や性別にかかわらず多くの人が将来のため寺子屋で「よみ・かき・そろばん」を学んでいました。江戸時代後期には全国に寺子屋が15000件近くあったと言われています。明治維新後の日本が急速な発展を実現できたのも、このように多くの国民が教育を受けており、基礎的学力を備えていたことが一因となっているでしょう。
そんなに多くの寺子屋があったとは驚きました。日本の識字率が99.8%と聞いたことはありますが、そういう歴史的な背景があったのですね。基礎教育である読むこと書くことは教育のはじめの一歩ですね。しかし、世界を見渡すと未だ教育を受けられず、字も読めない人たちが、多くいるようですね。
早川 字が読めないことを文盲・非識字と言いますが、文盲であることは個人に不利益を与えるばかりではなく、国の発展にも大きく影響を与えてしまいます。文盲率を見てみると、第二次世界大戦後から順調に上昇し続けてはいますが、世界の25%の人が文盲となっているのが現状です。
各国の状況をもっと詳しく教えてください。
早川 経済の急成長が続いている中国は90.9%、アジアの新興国であるインドが61.3%、EU諸国では97%となっています。一方でアフリカ諸国では識字率は大変低く、50%を下回る国々も多くあります。この原因は、アフリカは男尊女卑社会がいまだに続いて、女性が教育を受けられないことや、学校が整備されておらず満足の行く教育を受けられない現状があるためです。国民が、字を読めることは民主化の基礎です。政情不安が多発しているアフリカをより良くするには、教育が必要条件となるでしょう。
現在、教育現場ではゆとり教育を見直す動きが進んでいるそうですね。ゆとり教育は失敗だったのでしょうか。
早川 過度の知識の詰め込み教育や過熱しすぎた受験戦争などの反省から、子供たちに、ゆとりの中で生きる力を育み、広い視野を持った人間になってもらおうとして始まったのがゆとり教育です。この教育方針には誤りはなかったと思います。
しかし、OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに行っているPISA(学習到達度調査)によると、2000年調査に比べて2003年調査では、日本の学力が落ちてしまいましたね。
早川 日本の成績は、数理能力は若干順位を落とし、読解力は8位から14位へと後退しています。このような状況の中、昨年文科省は学習指導要領の見直しを始めました。2003年PISAで総合1位となったフィンランドは、1990年代に教育改革を進め、学習指導要領を10分の1にして、学校や教師独特の「ゆとり教育」が行われています。そのようなことも踏まえて、日本の教育の見直しを進めるべきであると考えております。
ただ知識だけの頭でっかちな人間ではなく、広く教養を待たせる教育をさせたいですね。そういえば、小学校で本格的な英語教育が検討されていると聞きました。社会がグローバル化している現状を考えても、とても画期的な事ではないかと思いますが。
早川 英語教育が必要かという問に約7割の保護者が賛成しているという統計もあるようです。そのような中で先日、小学校での英語教育について検討してきた中央教育審議会の外国語専門部会は、全国一律に小学校で英語を実施する必修化の提言をまとめました。公立の小学校では現在、総合学習の時間を利用して月に1〜2回の英語活動をしています。4〜5年後には英語教育が小学校段階で本格的に始まりそうです。
今国会では、教育基本法の改正がひとつの焦点となっていますが、なぜ改正する必要があるのでしょうか。
早川 教育基本法は「真理と平和の希求」などを掲げ「教育の憲法」として現在まで位置付けられてきました。教育基本法の改正案では、教育の基本目標を「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人」として、この国の将来を担う子供たちに公共心や道徳心といった人間らしさを育む教育や、伝統や文化を尊重する、日本人らしさを育む教育をしてゆく必要があるのではないかという理由からです。
日本の将来を担う子供たちのために、より豊かな教育制度をつくり上げるために頑張ってください。
早川 はい。教育の問題は、小泉構造改革の大きな柱の一つでもあり、「責任ある改革」を公約として掲げる私の皆さまから託された使命の一つであると考えております。国会議員としてはもちろんのこと、今後の日本を支える子供たちを育てる責任ある大人として、全力で取り組んでまいりたいと思います。
 
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