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皇室典範改正について

2006/02/23

今月7日、宮内庁から、秋篠宮紀子様にご懐妊の兆候があるという、素晴らしいニュースが発表されましたね。
早川 小さな子どもが殺されたり、ライブドア問題が発覚したりと、暗いニュースが続いている中、嬉しいニュースですね。長女 眞子様、二女 佳子様とは大分年が離れますが、男のお子様か女のお子様かを問わず、元気なお子様がご誕生されることを心よりお待ち申し上げます。
ところで、有識者会議の答申を受けてこの通常国会で皇室典範の改正が取り上げられると報道されておりましたが、早川さんはこの問題についてどのような見解をお持ちですか。
早川 皇室典範の改正問題については、将来にわたり皇位継承を安定的に維持するために、現在の皇位継承制度を改正しようとするもので、私はこれを政争の具にしてはならないと思っております。象徴天皇制を取る我が国の根幹に関わることですので、国民の合意が得られるように、慎重、かつ丁寧に検討を進めていかなければいけません。
皇室典範の改正について自民党の中でも議論が錯綜していると聞いておりますが、そうすると今国会での提出は見送られることになるのでしょうか。
早川 党の副幹事長の職にあるものとして、その点についてはお答えを差し控えさせて頂きます。私は、皇室典範改正ありきではなく、どうして改正が必要なのかということや、様々な問題について、しっかりと個々の議員や各党が勉強することが先決だと思っております。穏やかな雰囲気のなかで、静かに勉強し、正しく問題点を理解し、そのうえで自然の流れの中で改正の当否が決まっていくのが理想ではないでしょうか。
そうですね、実際に国民の皆さんのなかには、「男系天皇」と「女系天皇」の違いについてもはっきりと知らない人がいますから、我々国民も正確な情報や知識を持たなければなりませんね。
早川 皇室典範の定めにある「男系」とは、父方に天皇を持つことを意味します。つまり父方をたどると、理屈の上では初代の天皇までさかのぼれることになります。愛子さまは男系の女子であり、仮に父方に天皇を持たない男性と愛子さまとの間に生まれた子が即位すると、その子が女であろうと男であろうと「女系天皇」となります。
では、「女系天皇」と「女性天皇」はどういう違いがあるのですか。
早川 女性天皇は、歴史上10代8人おられますが、いずれも前代の天皇や皇太子の寡婦であったり、皇位後継者が幼児であるなどの「緊急避難的」、「つなぎ的」な役割を果たしてこられました。2000年余りにわたるわが国の長い歴史の中で「女系天皇」が即位した例はありません。
現在の皇室典範ではその「女性天皇」も認めていないのでしょうか。
早川 そうです。現行の皇室典範は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」としており、女性が皇位につくためには、皇室典範の改正が必要になります。
では、現在のままの皇室典範では、愛子さまは即位できないということですか。
早川 そういうことになります。
そもそも現在の皇室典範はいつできたのですか。
早川 現在の皇室典範は、1947年1月16日に公布され、象徴天皇制に移行した日本国憲法と同時に施行されました。このときに初めて皇室典範は法律として制定され、他の法律と同様に、制定および改正は国会が行ない、その制度そのものに国民が、国会を通じて関与することとなったのです。
そうすると、それ以前は、国会で皇室典範の制定や改正はできなかったということですか。
早川 明治22年に制定された旧皇室典範は、「皇室の家法」という性格上法律ではないとされておりました。したがって改正にあたって帝国議会の協賛は要しないと定められており、帝国議会は改正に全く関与できないものでした。
ところで、皇位継承資格が男系男子に限定されたのはいつからなのですか。
早川 皇位継承については、旧皇室典範で初めて、継承をめぐる争いを回避するなど皇室制度の安定化を図るために明文化されたのですが、このときに、男系男子に限定されました。
それ以前は、とくに皇位継承は男系男子ではならないという規定はなかったのですか。
早川 旧皇室典範の制定までは、皇位継承についての明文の規定はありませんでした。しかし、現実には皇位は、それぞれの時代の価値観や社会情勢を背景としながら、皇統に属する男系の者で皇族の身分を有する者によって継承されてきました。もっとも、その際の半数近くは非嫡系(正式の婚姻関係外の子による皇位継承)であったということも事実です。
そういった事実も踏まえると、現在の皇室典範は、皇位継承の仕方が非常に狭まったものと言えますね。
早川 そうです。現在の皇室典範で初めて“嫡出であること”という要件が加えられ、皇統に属する男系と婚姻している夫婦間に生まれた男子しか皇位を継承する資格がなくなりました。
なるほど。天皇の制度は古代以来の長い歴史をもつもので、この伝統はこれからも引き継がれていかなければならないと思いますが、そもそも「男系継承」の意義はどこにあるのでしょうか。
早川 この点に関しては、個人の歴史観や国家観に関わるものであり、様々なご意見があろうと思います。男系継承が一貫してきたという歴史的事実を正確に認識した上で、過去にどのような条件の下に男系継承が維持されてきたのか、その条件が今後も安定的に維持されていくことが現実的に可能なのかどうか、等を検討することによって、「男系継承」の意義が明らかになってくるのではないかと考えております。
戦後の昭和22年、GHQの指令によって皇籍離脱した、いわゆる旧宮家の皇族復帰を主張する声もあるようですが。
早川 旧宮家はすでに60年近くも一般国民として過ごされております。果たして一般の国民が、これらの方々を再び皇族として受け入れることができるかどうかが問題となります。また仮に皇籍への復帰を行う場合でも、当然、当事者本人の意思を尊重する必要があります。こういうことを考えると、旧宮家の皇籍復帰が男系男子による皇位継承を将来的にも安定的なものにする方策となるとは断言できないのではないかと思われます。
昨年1月から小泉総理の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が17回にわたって開かれ、報告書が提出されたようですが、有識者会議ではどのような議論がなされたのでしょうか。
早川 有識者会議は、皇室制度、憲法、宗教、歴史など様々な分野の専門的な知識を有する8名の有識者から構成され、わが国の伝統を踏まえつつ、安定的に皇位が継承され、かつ国民の理解と支持を得られる制度を構築していくとの目的の下に、さまざまな議論を経て報告書を取りまとめられたと聞いております。議論が十分ではないとか、本当の専門家による検討ではない等の批判も出されておりますが、私どもとしては、まずこの報告書を手がかりにしてしっかりと問題の所在を勉強し、冷静な判断の下に結論を出していく必要があると考えております。
憲法において“日本国及び日本国民統合を象徴する”存在として位置づけられる天皇ですから、私達国民も一人一人この問題についてはもっと勉強し、十分に認識を深める必要がありますね。
早川 そうですね。伝統とは必ずしも不変のものではなく、各時代において選択されたものが伝統として残り、またそのような選択の積み重ねにより、新たな伝統が生まれるという面があります。私としては、わが国が将来にわたって安定的に発展していくために、国民統合の原理とされている現在の「象徴天皇制」をこれからも維持していかなければならないと思っております。しかし、現在展開されている皇室典範改正問題についての巷間の議論は、「天皇の権威」そのものを傷つかせる方向に向かっているのではないかと危惧しております。 国民の皆さんはどのようにお感じでしょうか。