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提  言
平成21年3月13日
河村 建夫 官房長官 殿
危機と戦う!セーフティネット政策議員連盟
 

 私たちは、100年に一度といわれる経済危機が、いよいよ深刻化しつつある状況の下、突然雇用や住居を失う方々の増大に対して国のセーフティーネット機能強化が必要であるとの問題意識を持って、これまで関係者のヒヤリング、現場への視察などを重ねて参りました。そうした現場主義及び当事者の視点に立って、以下の通り提言致します。

I 経済危機対応セーフティネット対策本部(仮称)の創設

 今後ますます深刻化する雇用や生活危機に対して内閣全体で取り組む断固たる姿勢を示すために、麻生総理大臣を本部長とする経済危機対応セーフティネット対策本部(仮称)を創設し、縦割りを排除した総合的体制を作る。 今般の雇用・生活危機は、阪神淡路大震災等の大災害と同様の大胆な体制を採る必要がある。

II 住む場所の確保が最重要

現場の声は、何よりもまず住む場所の確保。住む場所がないと就職活動がままならず、生活保護申請後、開始決定までの生活が成り立たない。 そのために次の各政策が重要である。

  1. (緊急)緊急宿泊施設 (以下「シェルター」)については、特に必要性が高い地域において、国と地方自治体が協力し、増設すべきである。 なお、現在2分の1となっている国庫補助率の引き上げ(少なくとも3分の2まで)を行うべき。実際の補助基準が厳しくて事実上4分の1補助くらいの運用になっているとの声もある現状に鑑み、補助基準も緩和すべきである。
  2. (緊急)シェルターの設置は、固定費用を伴うものであり、今後経済状況が好転した際には不要になる場合もありうる。そこで、自治体の判断により、借り上げ方式によるシェルターも国庫補助の対象に含めるべきである。
  3. 「緊急雇用創出事業」は、党の雇用生活調査会の提言でも増額をお願いしているが「人件費が全体の8割以上」とされ、住宅に使いにくいので、条件緩和をさせるべき。
  4. 住宅の確保で、実際に苦労しているのは保証人の確保である。 公的保証・民間住宅入居支援制度のあり方を改善すべき(良い例として横浜市)。
  5. 全国的ハウスメーカー(富士ハウス)の自己破産により、前渡金を過払いさせる営業についてのセーフティネットの欠如が顕在化している。雇用喪失の場合とは異なるものの、一生の夢マイホームの重要性に鑑みれば、早急の被害者支援と再発防止のためのガイドライン策定が必要である。

III 次なるステップの明確化

  1. 雇用を打ち切られた側からすると、その後「どうしていいか分からない」という状況に陥る。 派遣の場合には、派遣先・派遣会社は連帯責任で、その他解雇や期間満了の場合には、当該会社が、雇用喪失時に、再就職活動、緊急小口貸付、住居の確保(雇用促進住宅・就職安定資金貸付)、生活保護の申請、外国人労働者の場合には帰国手続きや帰国補助等の「雇用喪失後の次なるステップ」について情報提供をすべきものとする。
  2. 就職安定資金貸付において必要となる「離職・住居喪失証明書」の、解雇時における交付を義務付けるべきものとする。また、「入居(予定)証明書」の発行について不動産協会等に理解と協力を要請すべきである。

IV 総合的相談体制の整備

  1. 現場で困るのは、「どこに行ったら分からないし、行ってもたらいまわしにされる」ことである。 したがって、そこにいけば何でも相談を受けることができるワンストップ型相談体制をハローワークを主たる窓口として、市町村役所を従たる窓口として構築し、さらに両者を密接に連携させることが重要である。 支援員を置き、OBも含めて有識者を臨時雇用で増員すべきである。
  2. この点、当議連で視察した「川崎雇用、仕事、暮らしの総合相談村(通称川崎派遣村)」では、すべての相談者がまず総合受付で相談内容を話し、各相談ブースに誘導するやり方をしていたが、参考にすべきである。 特に、保険証不所持者や精神疾患者なども多く、医療・精神相談体制の整備が重要である。
  3. ケースワーカーが絶対的に不足している。 NPOや専門家などを臨時的に雇う、又は業務委託するなどして緊急的にその増員を図ることが必要である。

V 立ち直りのきっかけの提供

  1. 職業訓練が何よりも大切である。 この点、党の雇用生活調査会において提言された「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」の創設と、住居・生活支援と再就職支援を職業訓練に合わせる総合的な支援は極めて重要である。
  2. その際、生活保護よりも職業訓練の方がいい、と誰もが思える制度設計が必要であり、特に訓練中の所得保障を生活可能なレベル、すなわち生活保護水準よりも高いものとすべきである。
  3. 雇用保険の適用拡大が重要である。 認められる有期契約期間や緊急性、他方で安易な受給の排除などを総合的に勘案し、「3ヶ月」以上の雇用見込みに適用拡大すべきである。
  4. 職業訓練や再就職に地域の移動が伴う場合には、当該移動先地域の情報提供も重要である。

VI 予防

  1. 貧困率の全国地域別統計を、早急に整備・精緻化し、政府としての、その削減目標も含め抜本的・総合的対策を早期に打ち出せるようにすべきである。
  2. 雇用調整助成金の拡充方針は望ましいが、特に残業を行っていると休業補償が出にくくなる要件は、業種の特殊性を考慮して柔軟化すべきである。
  3. 企業側に、有期雇用・派遣契約の期間内解除は原則認められないことを徹底すべきである。有期雇用や派遣契約の解除が認められる場合も、一ヶ月の給与や住居撤退の猶予を与えるべきである。
  4. 解雇や雇い止めなどの際に、理由を「自己都合」とする傾向があるが、強要した場合には罰則もあるので、企業側に対して禁止を徹底すべきである。
  5. 労働基準監督官の職員の業務が過重になっているので、早急に増員が必要である。 
 
以 上
 
論点整理版
 

I 解雇や雇い止め、派遣切り(以下「解雇等」)についての企業コンプライアンス

  • 正規社員への登用義務がある労働者に対する各企業の雇用義務の遵守 ・ 有期雇用・派遣契約の期間内解除の厳格化
  • 自己都合退職への強制禁止(雇用保険法違反、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金)
  • 製造業派遣や登録型派遣は存続すべき。ただし、悪質業者の排除やコンプライアンスの徹底、隙間のない、あらゆる事態(例えば、雇用保険非対象者や雇用保険支払満了後も就労できない者など)に対応できるセーフティーネットの構築を図るべき。
  • 派遣契約終了前の派遣切りについては、寮への居住権保障や一か月分の給与保障を必要とすべき。
  • 会社寮でも、周辺相場と同等の家賃を取っている場合には、借地借家法の適用を受け、解雇と同時に追い出すことはできない旨を徹底すること。
  • 派遣先に何もいえない体制を変える。派遣元はもちろんのこと、派遣先も一定の責任を負う。

II 解雇等をされた労働者の視点に立って、「次なるステップ」の明確化

  • 解雇等における雇用保険申請手続き、住居、就職安定貸付、生活保護等々、次に進むべきステップについて、企業側に情報提供の義務付け。
  • 解雇等の際に、後の手続きに必要となる証明書類、特に「離職・住居喪失証明書」の交付義務付け。
  • 大量の解雇等が行われる場合、出張ハローワークにより各種制度や再就職相談を行う。
  • まずは、住居の確保が重要。既にシェルターはいっぱいになっているところが多いため、緊急宿泊施設(シェルター)については、借り上げ方式の場合でも運営費も含めて国庫補助対象にすべき。特に、大企業の社宅には空き家があると言われている。また、宗教法人や民間の受け入れ先も積極的に補助対象とすべき。
  • 住宅については、自治体、特に政令市がその確保に積極的ではないふしがある。補助率が2分の1のため、最初に動くと集中してしまうというおそれがあるからではないか。その要因を突き止め、適切な行動を取るようにすべき。
  • シェルターの国庫補助率は、現行の2分の1から3分の2程度まで上げないと地方自治体はしり込みする。また、補助率2分の1だが、実際の運用では4分の1になっている現状に鑑み、実態に見合った補助基準にすべき。
  • 特に必要性の高い地域におけるシェルター設置数を増やした上、受け入れ期間も延ばせるようにすべき。
  • 住宅の確保において保証人要件が困難。NPOもやいのような民間に頼るだけはなく、公的保証を拡充すべき。なお、良い例として横浜市、適用例がないものとして千代田区などがあるので、参考に使い勝手の良さを改善すべき。
  • シェルターのような団体・共同生活になじめない人も多く、山谷のドヤ街に流れている。しかし、そこも手一杯であり、このような観点からの公的住宅の拡充も必要。
  • 就職安定資金貸付は有効。ただし、必要な書類整備のために時間がかかりすぎるため、解雇等の際の「離職・住居喪失証明書」交付義務化、退去猶予の場合には「入居(予定)証明書」の迅速な発行について、不動産協会等に理解と協力を要請すべき。
  • 緊急雇用対策として自治体が全面的に住居確保をする場合でも、これを補助対象として認めるべき。
  • 外国人労働者については、帰国セーフティーネットの構築を行うべき(既にこの方向性で進んでおり評価できる)。
  • 住居確保の重要性に関連し、富士ハウスの自己破産により、前渡金を払いながら、住宅着工が途中中止、あるいはそもそも未着工という被害者の方々が続出している。金融機関が、こうした被害や損失に対して、金利のカット、返済猶予などの柔軟な対応を取るよう国から要請すべき。
  • なお、将来の予防策として完成保証制度の加入義務付け、一定比率以上の前渡金要求の禁止などが必要。

III 総合的相談体制の整備

  • ハローワークでも、役所窓口でも、どこで相談しても総合的な内容の説明を受けられる体制を整えるべき。今は縦割りで、たらいまわしにされる。特に、社会福祉協議会関連(離職者支援貸付)のものは、ハローワークで相談も受けてもらいたいとの声が多い。
  • 生活保護、新設すべき半就労生活保護のようなものから再就職支援、職業訓練などにいたるまでの総合相談窓口として、ハローワークがよい。
  • ハローワークと役所窓口との連携は重要。どちらにしても振り分けを指示する総合コーディネーターのような存在が必要。川崎派遣村では総合受付があり、そこが相談窓口を誘導していた。
  • ハローワークの「就労支援ナビゲータ」はつながった場合の就労率がかなり高く6割程度。したがって、一層の拡充が必要。
  • ケースワーカーの増員は緊急的な問題。一人80ケースの標準数をオーバーしている。NPOやその他専門家を臨時雇用や業務委託すべき。
  • 労働基準監督署の負担も重い。基準監督官の増員が必要である。
  • 精神的に問題がある方、また医療を受けられない(健康保険を持っていない)方も多い。このような医療・精神相談体制も整える必要がある。
  • 民間のNPOもやいのような支援団体は極めて有効だが、カンパとボランティアで成り立っているため、既に限界に近い。このような民間団体を支援して、総合的相談体制を築くべき。
  • 政府内には、阪神淡路大震災のように、今回の危機を大災害と捉えた総合的な推進本部を立ち上げるべき。縦割りで対応していくには限界がある。

IV 立ち直りのきっかけに対する国及び地方自治体の協力体制の構築

  • 半就労半福祉、すなわち生活保護を受けながら、働くことを可能とする新制度が必要。
  • 職業訓練の充実が大切。手に職ないものはこれから先も使い捨てにされる。
  • 地域を越えた転職への不安を取り除く工夫も必要。当該地域の情報提供など。
  • 介護や農林水産業といった人材難分野へもいきなりの転職は無理。訓練を充実させるとともに、訓練中の所得保障(農業など)を生活可能なレベル(生活保護以上)まで引き上げるとともに、そうした分野における所得増加を図るべき。
  • 雇用保険については、有期契約期間との整合性等から、3ヶ月以上の雇用見込みとすべきではないか。なお、建設国保のように、日雇い労働で義務付けをされているような日雇い派遣への義務付けも要検討。

V  予防

  • 貧困率の全国地域別統計を早急に整備、精緻化し、政府としての抜本的・総合的対策を早期に打ち出すべき。
  • 派遣制度で派遣先だけが非難されるのはおかしい。中小企業などでは正社員がなかなか取れず、派遣社員を取ったとしても3分の2は最初の半年くらいで辞めてしまう。むしろ、派遣会社の責任のあり方を検討すべき。
  • 雇用調整助成金については、勤務日にやむなく残業が必要となる場合も実態としてはあるので、残業要件を緩和すべき。
  • 外国人労働者については、働きやすい環境作りを考えるべき。
 
危機と戦う!セーフティネット政策議員連盟
 
顧問   棚橋  泰文
顧問    増原  義剛
顧問    桜田  義孝
会長   早川  忠孝
会長代行    奥野  信亮
幹事長   片山  さつき
事務局長   牧原  秀樹
事務局次長   阿部  俊子
事務局次長   井澤  京子
事務局次長   石井  みどり
事務局次長   丸川  珠代
幹事   木村  勉
幹事   山本  明彦
幹事   加藤  勝信
幹事   寺田  稔
幹事   柴山  昌彦
幹事   小野  次郎
幹事   亀岡  偉民
幹事   木原  誠二
幹事   小里  泰弘
幹事   篠田  陽介
幹事   清水  鴻一郎
幹事   土屋  正忠
幹事   徳田  毅
幹事   萩原  誠司
幹事   広津  素子
幹事   松本  文明
幹事   末松  信介
幹事   田村  耕太郎
幹事   森    まさこ
     
 

 

 
 
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