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 自由民主党の諸先生方におかれましては、責任与党として高齢者医療政策に真摯に取り組まれ、とりわけ『療養病床問題を考える国会議員の会』を立ち上げられ、患者や、高齢者医療の現場の医師、都道府県の高齢者医療担当者の声に対してきわめて熱心に耳を傾けて下さること、まことにありがたく衷心より感謝申し上げます。
 さて、この医療病床問題、とりわけ介護療養型医療施設を全廃し、医療施設から単なる介護施設に移行させるという厚生労働省の計画は、何らの計画性もなく、捏造とも言うべき情報操作が行われ、国民の意見も聞かず法案となったものでありました。その過程は今、療養病床計画を担当した元厚生労働省の課長補佐の論文や、厚生労働省が療養病床政策の基本に据えた医療区分なる考え方を作った中医協の分科会の抗議によってあきらかとなっております。与党や国会、あるいは関連審議会での審議がそのような、きわめて不適切な資料と情報により、いわば厚生官僚の意のままに行われたことに対して、私達はまことに残念・無念の思いを抱いております。
 また、介護療養型医療施設の廃止は手続きの問題にとどまらず、内容についても、実施されれば膨大な数の医療・介護難民が出現することは必死です。私たちの試算では、その数は53000人にも及びます。厚生労働省が考える、介護療養型医療施設の後継施設は、医療・看護・介護ともに手薄に過ぎ、報酬も極端に低く、お年寄りは退院を促され行き先を失います。また介護療養型医療施設は経営が成り立たなくなり廃院する病院が多数出るなど、実施されれば後期高齢者医療制度以上の大問題となることは必死です。厚生労働省は「廃止」ではなく「転換」だとしますが、私達は、これは、「療養病床潰し」であり、病院をつぶしてお年寄りの受診をシャットアウトすることが本当の目的であることと確信しております。
 幸いなことに、この施策は、最終実施期限までまだもう少し時間がございます。私達は、これまで厚生労働省と交渉してまいりましたが全くらちがあきません。なんとか、ぜひ、議員の皆様のお力で、介護療養型医療施設廃止問題につき抜本的な見直しをご検討いただきたく、ここにお願い申し上げます。
 
平成20年6月10日
日本療養病床協会  会長 武久 洋三
  副会長・介護保険委員会委員長 清水 紘
介護医療型医療施設の存続を求める会
  事務局長 吉岡 充
 
 
わかりやすい、介護療養型医療施設全廃の経過について
〜介護療養型医療施設廃止の無計画と、厚生労働省により加えられた根本的な情報操作〜
 
1

介護療養型医療施設廃止は何の計画もなく、いきあたりばったりで決められたことについて
 厚生労働省は、公には、「介護と医療の機能を区分」する目的で介護療養型医療施設を全廃する計画を練ったと説明する。この「介護と医療の機能を区分する」というのも高齢者医療の現場を知らないからこそ言える机上の論理だが、まだしも、論議の余地がある。
 しかし、全廃の本当の背景はそんな体裁のいいものではない。介護の「か」の字も医療の「い」の字もない。療養病床削減を「計画」した※村上正泰元厚生労働省保険局総務課長補佐が発表した通り(中央公論平成20年3月号及び週刊東洋経済平成20年4月12日号対談記事)、厚生労働省内の担当者ですら「驚き」そして「とまどう」ほどのむちゃくちゃなものだった。医療費削減目標がまずあった。それにそって、いきあたりばったりを続けていたら、療養病床削減となり、ついには何の脈絡もなく介護保険の介護療養型医療施設も全廃するという結論まで飛び出してしまったというものである。
 すべては、財政の数字だけあり、他はまったく一顧だにされない。こんなレベルの政策で、国民の命にかかわる重要な問題が決定されてはたまらない。こんな場当たり的な政策で大切な高齢者の療養の場である介護療養型医療施設を廃止するのは言語道断である。

以下、村上正泰元保険局総務課課長補佐の論文及び対談

 

● 平成18年度の医療制度改革において、私は療養病床を15万床に削減するという計画作りを担当した。
● 入院日数短縮のための考え方として医療区分が作られた。診療報酬全体の改定率が過去最大のマイナス幅(▲3.18%)に決まったことを受け、それを実現するために、医療区分1の点数が不採算の水準まで大幅に引き下げられることになった。不採算になると医療機関は患者をどんどん退院させるから、「療養病床が削減できる」ことになる。
■ 私も「そこまで下げて大丈夫なのか」と驚きを持って受け止めた。漠然とした共通目標はあれ、省内の担当部署はそれぞれ別々のことをやっている。病院は医療区分1の患者を退院させざるを得ない。その分、病床は減る。一方で、平均在院日数短縮計画がある。この2つの政策に整合性を持たせるために、単なる診療報酬点数上の線引きにすぎなかった医療区分に基づいた療養病床削減計画が急遽、たてられることになった。
● 結果として医療区分が、療養病床再編成の基準として使われるという行き当たりばったりの政策であった。
● 介護療養型医療施設の廃止についても、介護事業や療養病床の運営に携わる人達に十分な相談が無かっただけでなく、厚生労働省内にあっても医療再度との綿密な調整があって決められたわけではない。介護保険制度はその前年に大きな制度改革を行っているが、その時には介護療養型医療施設の廃止は議論されていない。
■ 06年に入り、法案提出直前の最後の最後になって、今度は厚生労働省の老健局から13万床あった介護型療養病床を「前廃しようと考えている」と聞かされた。急遽、保険局と老健局の間で調整が始まり、それぞれの動きをまとめて全体のストーリーを作成。その結果、療養病床の削減数が23万床へと一気にふくれあがった。
● 当時私自身も政策立案に関わりながら、当初想定していなかった寝耳に水の話が次々と出てきて大変驚いた。
● その結果として場当たり的な対応をつぎはぎしていかざるをえなくなり、全体としてバランスの悪いものになってしまったのである。

 
2

厚生労働省により情報が操作され、捏造されたことについて
厚生労働省は、まず、慢性期入院医療調査の結果をすり替えた。「医師による指示の見直し」という設問項目への回答を「直接医療提供頻度」という設問への回答であるかのごとく発表した。つまり、データは、指示を見直す頻度の少ない患者が、まるで「医師が診察をしていない患者」「医師による医療提供の必要性がない患者」という印象を持つように操作されたのである。

 そしてさらに、厚生労働省が介護療養型医療施設全廃の根拠とした「医療区分 1」にも、重大な捏造・情報操作が加えられており、「医療・介護難民は出ない」という厚生労働省の話は虚偽である。
 厚生労働省は医療・介護難民は出ない・出さないという。その論理は、介護療養型医療施設の患者は医療区分1の患者が多い。医療区分1とはそもそもすべて入院医療の必要がない患者である。介護療養型医療施設の後継となる「受け皿施設」にはそういう医療区分1の人を多く集める。よって、受け皿施設には、入院医療体制は必要ない。医師は、24時間配置せず平日の昼間だけ配置し、看護・介護スタッフも実際には減らす。そういう配置でも医療区分1の患者は、そもそも入院の必要がない人たちなのだから十分に対応でき、行き先を失う「医療・介護難民」は出ない。こういうものである。
 しかし、その出発点から虚偽が存在している。「医療区分1」については、当の「医療区分」をまとめた分科会の方たちが全会一致で、下記のように重大な疑問を呈し、厚生労働省を強く批判しているのである。
“ここでもあきらかなように、医療区分とは、「患者に係るコストに着目して医療区分、ADL区分を設定する」だけのために開発されたもの、簡単に言えば、どういう患者にどれだけコストがかかっているかを調べて、診療報酬を払うために、いくつかの類型にまとめたものに過ぎない。こんな捏造・情報操作で、高齢者の命まで操作されてはたまらない。膨大な数の高齢者が難民化し、本当は医療施設が必要な患者が介護施設で生活することになる。本当は死なずにすんだお年寄りが死んでしまったら(そういう例は膨大な数に上るだろう)一体誰が責任をとるのか。”

 
○医療区分1「入院必要なし」は疑問−慢性期分科会が中間報告−
 中医協の診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会(文化会長=池上直己・慶應大医学部教授)は(平成19年)3月19日、「政策判断によって医療区分1は入院医療の必要なしとされ、コストに合わない点数が設定されたことに大きな疑問を呈さざるを得ない」とする中間報告書を取りまとめた。近く開催する中医協・診療報酬基本問題小委員会で池上文科会長が報告する。池上分科会長は「この分科会でのエビデンスが違う形で利用された。全会一致の意見として報告したい」と協調した。(日本医師会配信ファクシミリニュース )
□平成19年3月19日に同分科会から「平成18年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査の結果についての中間報告書」として出されました。『なお、当分科会に対して要請された事項は、患者に係るコストに着目して医療区分、ADL区分を設定することであった。しかし医療区分1に関して入院医療を必要としないという政策判断がなされ、診療報酬についてもコストに見合わない点数が設定されていることについては、当分科会として翁疑問を呈さざるを得ない』とかかれています。中医協の専門調査会の報告書については、事務局として忠実に考慮すべき厚労省が、一体どこで政策判断の検討をし、そのデータをそのまままだ使っているというのは一体どういうことなのか、非常に疑問である(参議院議員西島英利先生 にしじま通信・西島だより第14号から)
 
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