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(私の報告内容)

今週火曜日(13日)に開催されました原爆被爆者対策に関する小委員会において、在外被爆者問題に関する決議を行いました。内容は、お手元の資料に尽きておりますが、委員長の私から簡単にご報告申し上げます。

現在、(約4,300人の被爆者健康手帳所持者を含む)全体で数千人規模のいわゆる在外被爆者の方々が韓国、米国、ブラジルなどに暮らしておられます。平成14年以降、国として、手帳交付のための渡日支援、治療のための渡日支援、現地における健康相談等、医療費に対する助成、医師等の研修受入、派遣、被爆時状況確認証の交付などを予算事業で実施してきておりますが、主として2つの点において在外被爆者の大きな不満が解消されていない現状にあります。

先月17日には、韓国、米国、ブラジルの被爆者代表が来日し、舛添厚生労働大臣に対し、この2点、すなわち、(1)海外からの被爆者健康手帳の交付申請を可能とすること、(2)在外被爆者が居住国において受けた医療の自己負担額を支給する保健医療助成事業についてその上限(現在、原則13万円、特別事情により14万2千円)を撤廃することの2点を重点的に要望しました。

原爆被爆者対策に関する小委員会としては、在外被爆者代表の皆様との面会において、舛添厚生労働大臣も「在外被爆者の思いを受け止め、与党の検討を俟って結論を出したい」旨表明されたことなども念頭に置きつつ、戦後60年以上が経過し在外被爆者の皆様の高齢化が大幅に進んだ現状に鑑み、手帳交付を受けるためだけにわざわざ来日する負担は無くすとともに、高齢化に伴って増えることが予想される在外被爆者の皆様の医療費の実態に現在の制度が対応できているかについて結論を出す必要がある旨決議した次第であります。海外における原爆被爆者手帳の交付を可能とするためにはいわゆる被爆者援護法の改正が必要となりますが、付帯事情と致しまして、民主党が在外被爆者に対する海外での手帳交付を可能とすることを含め被爆者救済のための法案を今国会に提出する可能性があることも念頭に置きつつ、参院に提出されることが予想される民主党法案よりもしっかりした内容の法案を今後当小委員会においてとりまとめ、いつでも議員立法として衆院に提出できる体制を整えておくことが必要と考えます。

より詳細な法案の内容については、決議の別紙、2枚目の骨子案をご覧下さい。これまでは、被爆者援護法第2条第1項が被爆者健康手帳の交付を受けようとする者は居住地又は現在地の都道府県知事に申請しなければならないと既定していることを根拠に、海外からの手帳交付申請は認められない取扱いが行われて参りましたが、今般、骨子案に基づく議員立法を提出することにより、国内に居住地又は現在地を有しない者は、被爆した場所を管轄する都道府県知事、すなわち、広島、長崎両県市に申請すれば、国外において対面審査のうえ手帳の交付を受けられるようにしようとするものであります。

現時点で想定される民主党案は、原則として在外被爆者が最後に日本国内に有した居住地の都道府県知事が手帳交付を行うとしておりますが、手帳を取得せずに出国した場合、住民票は通常5年で廃棄されるため、都道府県にとっては自分の地区の住民であったか分からないという大きな問題があるうえ、海外出張を含む都道府県における対応体制の整備など様々な点において非現実的な案となっております。この点について、与党案であれば、被爆地に対する申請であれば申請について過去の書類等を元に一定の審査を行うことが可能であり、また、4県市であれば、既に在外被爆者に対して出張して健康相談等を行ってきた実績があり、定期的に出張して審査を行う体制の確立が可能であるので現実的な問題解決が期待できるところであります。

なお、小委員会における決議の後、海外における手帳交付の事務を取り扱うことになる広島、長崎両県市の東京事務所を呼んで協力を依頼したところ、既に、国が予算面等でしっかりサポートすることを前提に4県市として前向きに対応して頂ける旨の回答を得ている点も申し添えます。

今後当小委員会において改正法の案文をとりまとめ、必要に応じ当部会にご報告申し上げながら、今国会会期中に議員立法による成立を目指します。

以上で原爆被爆者対策に関する小委員会が去る13日、火曜日に行った在外被爆者問題に関する決議のご報告を終わります。有難うございました。

以上

 

(委員会決議)

在外被爆者問題に関する決議

 現在、国外に居住する被爆者(在外被爆者)は、約4300人の被爆者健康手帳所持者を含む数千人規模に上るとされている。国は、平成14年以降、手帳交付のための渡日支援、治療のための渡日支援、現地における健康相談等、医療費に対する助成、医師等の研修受入、派遣、被爆時状況確認証の交付などを予算事業で実施してきたところであるが、在外被爆者から国の現在の在外被爆者支援事業に対する強い不満の声、要望が寄せられている。

 本年10月17日には韓国、米国、ブラジルの被爆者代表が来日し、舛添公正労働大臣に対し、特に、海外からの被爆者健康手帳の交付申請を可能とすること、在外被爆者が居住国において受けた医療の自己負担額を支給する保健医療助成事業についてその上限(現在、原則として13万円、特別な事情があれば14万2千円)を撤廃することの2点について重点的な要望を行ったところである。

 「被爆者は世界中どこにいても被爆者である」という在外被爆者代表たちの声には切実なものがあり、特に戦後60年以上経過して在外被爆者の高齢化が進んだ現在、気力、体力的にも手帳の交付を受けるために来日する負担は大幅に増大しており、かつ、高齢化に伴う医療費の増嵩が現在の保健医療助成費の上限を非現実的なものにしている可能性も否めない。

 在外被爆者問題については、上の事情を考慮し、かつ、舛添厚生労働大臣も先月中旬の在外被爆者代表との面会において、在外被爆者の思いを受け止め、与党の検討を俟って結論を出したい旨表明されたことなどを踏まえ、東商委員会において以下のとおり決議する。

1. 海外からの被爆者健康手帳の申請について、別紙の骨子案に示された基本的考え方に基づく法律改正により、できる限り早期に、現行の来日して交付申請する方法に加え、日本国外において被爆者健康手帳の交付申請を可能にすべきである。

1. 保健医療助成費の上限については、在外被爆者の健康状況、在外被爆者の居住国の医療事情などに関する知見から総合的に判断し、出来る限り早期に、現行の上限が適切なのか検証し、結論をだすべきである。

平成19年11月13日

原爆被爆者対策に関する小委員会
(委員長 早川忠孝)

 

(原爆被爆者援護法の改正法案骨子)

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案について (骨子案)

第1 改正の趣旨

 国内に居住地及び現在地を有しない者について、現行の来日して申請する方法に加え、日本国外において被爆者健康手帳の交付申請を可能にする。

第2 改正の内容

1 被爆者健康手帳の交付を受けようとする者で、国内に居住地及び現在地を有しない者は、政令で定めるところにより、その者が被爆したとする場所の所在地を管轄する都道府県知事(広島県知事、長崎県知事、広島市長又は長崎市長)に申請するものとすること。

2 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。

 

(参考)

○原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号) (抄)
 (被爆者健康手帳)

第2条 被爆者健康手帳の交付を受けようとする者は、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地とする。)の都道府県知事に申請しなければならない。

2  都道府県知事は、前項の規定による申請に基づいて審査し、申請者が前条各号のいずれかに該当すると認められるときは、その者に被爆者健康手帳を交付するものとする。

3  被爆者健康手帳に関し必要な事項は、政令で定める。

 
 
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