自民党 衆議院議員 早川忠孝 ウェブサイト

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 食料は、人間の生命の維持に欠くことのできないものだけではなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。食料の安定供給を確保することは、社会の安定及び国民の安心と健康の維持を図る上で不可欠です。 しかしながら、世界の食料自給が中長期的には逼迫する可能性もあると見込まれる中で、わが国の食料自給率は低下し、現在では海外に大きく依存している状況にあります。

 こうした中、安全・安心・安らぎ・健康を求める声が高まるなど、国民の意識や価値観にも変化がみられます。また、私たち国民の一人一人が毎日の「食」についての理解や関心を深め、自らの食生活を見つめ直したり、身近な食べ物を大切にしていくことも必要です。

 今回は、この大切な食料自給率について、取り上げてみたいと思います。

 
まずは食料自給率とは何か、簡単に教えて下さい。
早川 はい、食料自給率とは、国で消費される食料がどのくらい国内で生産されているかを示す指標です。その計算方法には3種類あります。(1) 重量ベース自給率…国内生産量、輸入量など、その食料の重さそのものを用いて計算した値。(2) カロリーベース総合食料自給率…食料の重さは、米、野菜、魚、どれをとっても重さが異なります。重さが異なる全ての食料を足し合わせ計算するために、その食料に含まれるカロリーを用いて計算した値。(3) 生産額ベース自給率…カロリーの代わりに、価格を用いて計算した値。
これらの3つの自給率のうち、カロリーベースの自給率は、多種多様な個々の品目をカロリーに置き換えることにより、一つのものとして総合的に見ることができます。
では、今の日本の食料自給率の現状について教えて下さい
早川 わが国のカロリーベースの食料自給率は、40%(平成18年8月現在)です。これは、昭和40年度の73%から、50年度には54%へと短期間に大きく低下しました。その後横ばいで推移しましたが、60年度以降再び大きく低下し、現在に至っています。 主要な先進国と比較してみると、オーストラリア230%、アメリカ119%、フランス130%、イギリス74%となっており、わが国は先進国の中で最低水準となっています。 また穀物(米、麦、とうもろこしなど)の自給率でみると、世界173カ国のうち、124位です。それは先進国の中では最大といえます。 現在、世界人口は増え続け、50年後には今の1.5倍になると言われています。世界の農地はあまり増えていない中、わが国はこの問題に対し真剣に取り組む必要があると言えます。
わが国の食料自給率が40%であると聞いて、そのあまりに低い数値に大変不安があります。どうして、年々低下してしまったのか教えて下さい。
早川 昭和40年代の食料自給率が73%の頃の当時のわが国は、ごはんや魚類、煮物などが中心で、その殆どを国産でまかなっていました。しかし、食生活の欧米化により、国内で自給可能な米の消費量が減少する一方、国内で生産が困難な飼料穀物や油糧原料(大豆、なたね)を使用する畜産物や油脂類を使用した消費が増えてきたことにより、食料全体の自給率が低下してきました。 また、食料消費の変化に生産が十分に対応しきれなかったことも、食料自給率低下の要因の一つといえます。
日本の食生活の変化は食料自給率の低下だけでなく、最近では、栄養バランスの崩れた食生活による、様々な病気や生活習慣病に近い肥満が増加してようですが、政府としてどのような対応策をとっているのでしょうか。
早川 自らの生活を見直し、健康作りや栄養バランスの改善等に主体的に取り組めるようにするため、厚生労働省と農林水産省とが連携し、食生活指針を具体的な行動に結び付けるものとして適正な食事の摂取量を分かりやすく示した「食事バランスガイド」を策定しました。 これは、(1) 主食(ごはん、パン、麺など)(2) 副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理など)、(3) 主菜(肉、魚、卵、大豆料理など)、(4) 牛乳・乳製品、(5) 果物、という5つの料理区分ごとに、「何を」「どれだけ」食べたらよいかを、料理のイラストをコマの形で表したものです。 日本の気候・風土に適している米などの穀物を利用したり、地域の産物や旬の素材を取り入れながら、バランスの良い食事を楽しんでいくことが、生活習慣病や肥満の防止、または、食料自給率の向上に結びついていくと考えられます。
食べ物の多く輸入に頼っている日本ですが、輸入は価格の高騰、異常気象などによる作物の不作や、輸出国での港湾スト、などのさまざまな影響で止まる可能性があるのではないでしょうか。
早川 政府ではそのような不測の事態の深刻さの程度に応じて対応できるように、「不測時の食料安全マニュアル」を策定しています。
1 レベル0(レベル1以降の事態に発展するおそれがある場合)…(1)食糧供給の見通しに関する情報収集・分析・提供、(2)備蓄の活用と輸入先の多角化・代替品の輸入、(3)規格外品の出荷、廃棄の抑制など関係者の取り組みの促進、(4)食料の価格動向などの調査・監視
2 レベル1(特定の品目の供給が、平時の供給を2割以上下回ると予測される場合を目安)…(1)緊急の増産、(2)買い占めなどの是正など適正な流通の確保、(3)標準価格の設定などの価格規制
3 レベル2(1人1日当たりの供給熱量が2,000kcalを下回ると予測される場合を目安)…(1)熱量効率が高い作物などへの生産の転換、(2)既存農地以外の土地の利用、(3)食料の割当・配給及び物価統制、(4)石油の供給の確保
食料自給率のこれからの目標について教えて下さい。
早川 政府は、平成17年3月に定められた、新たな『食料・農業・農村基本計画』に基づき、消費・生産両面の取組により、食料自給率の向上を図っていきます。そのため、将来的にはカロリーベースの食料自給率を5割以上とすることを目指しつつ、実現可能性を考慮して、10年後の平成27年度には45%とする目標を設定しました。  また、カロリーベースの目標設定を基本としつつも、カロリーの比較的低い野菜や果実、飼料の多くを海外に依存している畜産物の生産活動を、より適切に示すことができる生産額ベースの食料自給率についても新たに目標化しました。
食料自給率を45%に上げる為に、私たちの毎日の生活から何か出来ることはないのでしょうか。
早川 それには、消費者の皆さんお一人お一人の協力なくしては不可能と言えます。まずは(1) ごはんを中心に肉や油は控えめに、野菜をたっぷり使った食事を心がけましょう。(2) 食べ残しを減らしましょう。現在の日本では、食品の廃棄・食べ残しが非常に多くなっています。食料を大量に輸入して大量に捨てていることは問題であり、環境問題においても改善が必要です。(3) 地元でとれる食材を日々の食事に活かしましょう。身近でとれた新鮮な農産物を選ぶことが、地域の農業を応援することになります。(4) 「いまが旬」の食べものを選びましょう。「旬」の農産物は、もっとも適した時期に無理なく作られるので、余分な手間や燃料などを必要としません。味もよく、栄養もたっぷりで、体にも環境にもやさしい食事が実現できます。 以上のことが、身近な生活の中で取り組んで頂けることといえます。またそういったことが、食べ物を通して日本の美しい環境を守っていくことにつながるでしょう。
 
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