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テロ対策の強化と共謀罪の新設について

2005/12/12

先の特別国会では「共謀罪」の新設をめぐって激しい議論がされたが、結局継続審議になったと聞いています。共謀罪について勉強しましたが、イマイチよく理解できません。そもそもなぜ今、「共謀罪」を新設しようとしているのですか。
早川 2000年に国連で、テロ犯罪や薬物の密輸、集団密航など国境を越えた組織犯罪に対して、世界の国々が足並みをそろえて取り締まるための「国際組織犯罪防止条約」が採択されました。 わが国は、平成15年の通常国会でこの条約の締結について承認しましたが、まだ批准(※注1)の手続きをしておりません。そこで条約批准のための手続きの一環として国内法を整備し、「共謀罪」を新設することとなったものです。
条約の批准で具体的にどんなことが変わりますか。
早川 組織的な重大犯罪について、その実行に着手する前の段階での検挙・処罰が可能となります。私は、海外でテロの共謀をしてわが国に逃げ込んできたテロ組織集団の摘発をわが国の司法当局ができるようになることに実務上大きな意義があると考えております。
そうですか。そうすると、共謀罪の新設には特に問題がないようにも思えますが、国会ではどのようなことが問題とされているのですか!?
早川 大きく言って三つの点が問題とされております。すなわち、1. 「共謀罪」が市民団体や会社等の団体の通常の活動を取り締まる手段に使われてしまうのではないか、2. 思想を処罰することにはならないのか、3. 共謀罪を設けることにより、通信や室内会話の盗聴、スパイによる情報取得などの捜査権限が拡大され、国民生活が広く監視される社会になってしまうのではないか、といった懸念が強く指摘されております。
なるほど。そういった懸念があるのであれば、是非一般の国民が不安を抱かないような内容にしていただかなければいけませんね。こういった懸念について、法務省ではどのように説明しているのですか。
早川 まず今回の法案の目的ですが、犯罪の共謀を一般的に処罰するのではなく、?団体の活動として、犯罪行為を実行するための組織により行う犯罪(暴力団による組織的な殺傷事犯や悪徳商法のような組織的詐欺事犯等)、又は?団体の不正権益の獲得・維持・拡大の目的で行う犯罪(暴力団の縄張り獲得等のための犯罪)を共謀した場合に限り処罰することにしています。 ですから、団体の活動や縄張りと無関係に友人や同僚等と共謀しても、共謀罪は成立しないし、「犯罪行為を実行するための組織」を持つことのない市民団体や会社等の団体に属する人が共謀したとしても、共謀罪は成立しない、というのが法務省の説明です。
なるほど。思想を処罰することになるのではないか、という点はどうですか。
早川 今回の法案は、二人以上の者が重大かつ組織的な犯罪を実行しようと「共謀」する行為を犯罪として規定しようとするもので、人の内心にとどまる意思や思想を処罰するものではありません。
心の中で悪い考えを抱いているというだけでは共謀罪が成立しないことは当然です。また、仮にそのような考えを外に出したとしても、漠然とした相談程度では、共謀罪は成立しないというのが法務省の説明です。
それでは、共謀罪の新設によって、監視社会になってしまうおそれが強いという点はどうですか。
早川 今回の法案では、共謀罪の新設に伴って新たな捜査手段を導入することまでは提案されておりません。私は、共謀罪の新設で過剰な監視社会になり、善良な一般の人々の人権を侵害するような結果とならないよう、必要な一定の歯止めを設けるべきであると考えております。
法務省の説明は一応わかりました。が、法律案の文章を読んでも難しくてサッパリわかりません。本当に安心して良いのでしょうか。早川さんは法務委員会の理事だそうですが、早川さんご自身は共謀罪の新設についてどのようにお考えですか。
早川 私は、基本的に、1. 国際組織犯罪防止条約の締結を国会で承認している以上は、条約を批准すべきである、2. 一般の国民の方々が不安をおぼえるような、あいまいでどのようにも解釈できるような法律は作るべきではない、3. 国内法の整備は条約批准(※注1)に必要な範囲に限定すべきで、構成要件があいまいで濫用のおそれがあるような表現はとってはならない、4. 立法府である国会において十分審議を尽くし、犯罪の構成要件の徹底的な明確化と、適用範囲の限定のための修正案を与党主導で提案すべきである、と考えております。
 (※1)批准(※注1)とは・・・国家間において条約を結ぶことを言います。)
共謀罪については、日弁連が反対の意見書を出しており、まだまだ沢山の問題が残っていると聞いております。弁護士出身の自民党の国会議員は少ないようですが、早川さんは法律の専門家として慎重に検討し、国民が心から賛同できるような良い法律を是非作って下さい。
早川 はい。皆様のご意見をしっかり受け止めて、頑張って参ります。