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公的年金一元化問題について考える(1)

2005/11/30

これから先日本の年金制度はどうなるのだろうか、といった不安が国民の間に高まっています。
早川 年金の受給者数は現在3000万人を超えております(平成14年度3076万人)が、少子高齢化の急激な進展で、年金制度を支える基盤が激しく揺れ動いております。国民の皆様がわが国の年金制度の将来に不安を抱いておられていることは私も身に沁みて感じております。 政府は、こうした年金制度に対する不安を解消し、将来的にも持続可能な年金制度を確立するために、平成16年の通常国会で、年金制度の抜本改革をおこないました。
昨年の抜本改革の中身を教えて下さい。
早川 おおむね100年間の間で給付負担を均衡させるものとし、毎年不足する年金給付財源(年金給付額は、平成17年度で47兆円、平成20年度51兆円の見込みであった)を補うために、?公的年金の基礎年金への公的負担を平成17年から平成21年までかけて、従来の1/3から1/2に徐々に増やす、?平成29年までの間、厚生年金や国民年金の保険料を毎年少しづつ増額する(平成29年以降厚生年金の保険料の上限を18.3%、国民年金の上限を1万6900円とする)?これから新たに年金を受け取る年金受給者の給付額を少しづつ減額するが、標準的な年金受給世帯の給付水準は、現役世代の平均収入の50%を上回る水準を確保する、等の改正を行っております。
それで本当に安心して良いのですか?
早川 改革の大きな一歩が実現したところで、決してこれで十分というわけではありません。すなわち、昨年の段階では2050年の特殊合計出生率を1.39と想定していたところ、平成15年(2003年)の出生率は現実には1.29となっており、予測よりも少子化の進展が早く、昨年の改革だけでは十分ではありません。(なお、人口を維持するために必要な特殊合計出生率は2.08程度とされております。)
わが国の高齢化は、どの程度進行しているのですか。
早川 65才以上の高齢者の人口割合が2000年で17.4%となっており、これが2025年には28.7%、2050年で35.7%になると推計されております。1950年当時の高齢者の人口割合は4.9%だったので、いかにわが国の高齢化のスピードが急激であるかお分かりになると思います。
本当に深刻な事態ですね。それではもう少し、現在の公的年金制度がどうなっているか、教えてください。
早川 現在の公的年金制度は、大きく厚生年金、共済年金、国民年金の3種類に分かれます。民間事業所の従業員は厚生年金に、公務員は国家公務員共済年金又は地方公務員共済年金に、私立学校教職員は私立学校教職員共済に加入し、そしてこれらの制度に加入できない自営業者、農家、主婦、学生、短時間労働者の人たちが国民年金に加入することになっております。
複雑ですね。現在の年金制度のどこに問題があるのですか。
早川 現在の公的年金制度は、法律で、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することが義務づけられています。しかし、加入する年金制度によって給付水準と保険料負担が異なり、加入者に不公平感を生んでいます。
年金によって保険料の負担は、具体的どの程度違うのですか。
早川 国民年金は、年金保険料として現在月額1万3580円を払うことになっております。厚生年金は現在年収の14.288%、国家公務員共済は14.638%、地方公務員共済は13.738%をそれぞれ負担する制度となっています。なお厚生年金や共済年金の場合は、使用者と被用者がそれぞれ保険料を二分の一づつ負担することになっており、国民年金とはまったく保険料の負担の仕方が違っております。
なるほど。そんなに制度が違っているのに本当にそれで年金の一元化はできるのですか。
早川 厚生年金、共済年金は、雇われて働く人が対象ですので、その所得に保険料率を掛けた金額を納付し、現役時代の所得に応じた額が年金として支給されるという仕組みになっております。一方、国民年金の場合は、所得にかかわらず一律に定額の保険料を負担するという制度になっています。制度の根幹が違っておりますので、現時点ですべての年金を一元化することは不可能です。
野党は直ちに公的年金の一元化を主張しているようですね。現時点ですべての年金を一元化すると、どんな問題がでてきますか。
早川 野党の方々は、すべての職業の人が同じように所得比例の保険料負担方式の年金制度に加入するという制度を考えているようです。  しかし、この場合は、国民年金に加入してきた自営業者の保険料負担が一気に何倍にも増えることになってしまいます。他方、厚生年金に加入して高い保険料を払ってきた方は、所得のない方も加入する国民年金制度と一体化することにより、年金受給額を大幅に減らしてしまうという結果にもなってしまいます。
なるほど。難しい問題ですね。
早川 そのとおりです。ですから、自民党では、まず厚生年金と共済年金の統合一元化を当面の目標として年金一元化に取り組んでいるところです。国民一人一人の生活に大きく関わる大事な問題ですので、国民の皆様の声に謙虚に耳を傾けながら、持続可能で安心できる年金制度を作っていきたいと思っております。