自民党 衆議院議員 早川忠孝 ウェブサイト

お問い合わせ・ご質問はこちらまで

ここからメニューです。

→戻る

ここからコンテンツです。

「開かれた国を目指して」〜外国人労働者問題を考える〜

2005/07/05-00:00

先日、少子化の問題について早川さんのお話をうかがいましたね。
早川 大変重要な問題ですね。
ところで、少子化に伴って働く日本人の数が減ると、外国からの労働力を受け入れるかどうか、という問題を避けて通れないと思うのですが。
早川 政府は99年8月の閣議で、『専門的、技術的分野』の外国人労働者の受け入れを推進する方針を決めました。大学教授や外資系企業経営者、弁護士などで、約18万人が日本政府から最長3年の在留資格を取得、就労しています。在留資格は更新も可能です。しかし、単純労働者については原則として受け入れていません。
どうして受け入れていないのですか?
早川 日本人の雇用の機会が奪われるから、というのが最大の理由でしょう。
でも、日本の若者がなかなか就業したがらない職業分野で、外国人が頑張っている光景もよく目にします。新宿や池袋などの飲食店では、アジア各国を中心に、多くの外国人のアルバイト従業員が働いていますよ。どういう資格で働いているのか分かりませんが、真面目で一生懸命仕事をしているように感じます。
早川 確かに皆さん日本語も上手だし、お店の方々も頼りにしていると聞きます。私はこのように、日本の国民が外国の方々と直に接して、異文化と触れ合うことはとても大切なことだと思います。若いうちからそうした交流を持つといいですね。日本の将来を担う若い方々が国際的に通用する人間に成長するきっかけになればいいと思っております。
今、日本には何人くらいの留学生がいるのですか?
早川 2003年現在で、約11万人の留学生が日本で暮らしています。飲食店などで見かける外国人の多くは留学生のアルバイトでしょう。以前は留学生のアルバイトは比較的自由にできるよう認められていました。しかし、留学という名目で、いわゆる出稼ぎ目的で来日する人が多くなったので、平成2年に出入国管理及び難民認定法が改正され、留学生は「資格外活動」の許可を得なければアルバイトはできないことになりましたので、注意が必要です。
知りませんでした。厳しく制限されているんですね。
早川 留学生の方々には、しっかり勉強して、母国の発展に貢献する人材に育つ、という法の本来の趣旨に沿った活動を日本でして頂きたいということです。なお、「資格外活動」の許可を得ても、労働時間には上限があります。夏季休暇中などの例外規定はありますが、大学や専修学校の学生なら1日4時間以内、大学院生なら2時間以内…などとなっています。
日本で外国人が働くことは大変なんですね。今後もこうした状況は続くのでしょうか?
早川 留学生の資格外活動はさておき、私は外国人労働者の受け入れは必要だと考えています。まず、日本の総人口そのものが今年か来年をピークに減少していきます。2002年1月に国立社会保障・人口問題研究所が推計した報告によると、現在1億2770万人余りある総人口が、2050年には1億人余りに減少します。さらに、15〜64歳のいわゆる生産年齢人口については、現在は8459万人と、全体の66.2%を占めていますが、2050年には5388万人、53.6%にまで減少することが見込まれています。今後45年間のうちに働き手が3000万人以上失われるわけですから、日本にとって深刻な問題です。今後もわが国の発展を持続可能なものとするためには、まず多くの働き手、社会の担い手を育てていかなければなりません。
そのためには、外国から人材を募ることも必要だということでしょうか?
早川 そうですね。現在の日本の経済規模を維持していくためにも、不足する労働力を確保していくことが不可欠です。わが国としては、日本の将来の発展の基盤を整備していくという観点からも、アジアの国々との間でFTA(自由貿易協定)交渉を進めておりますが、タイやフィリピンなどは、わが国に対し、看護師や介護福祉士などの受け入れを求めています。
政府はどう対応しているのですか?
早川 現在、看護師は「専門的、技術的分野」の職業とされていますが、外国人は研修目的で4年間しか働くことができません。介護福祉士は専門的・技術的とは認められていません。政府は日本の国内免許取得などの条件を付けた上で、一定の人数を受け入れる方向で現在検討中です。
介護補助などの仕事については、専門的・技術的とはいえない単純労働かもしれませんが、もっと開放してもよいのではないでしょうか?
早川 厚生労働省では、現在約150万人とされる認知症の高齢者が2040年には385万人にも達すると推計しています。介護という仕事は、する側にとっても、される側にとってもしばしば厳しい苦難を伴うことになります。ひとりひとりの負担を軽減するためにも、数多くの多様な人材を確保しなければなりません。外国人の受け入れは一つの有力な選択肢となります。
そうなったら日本も安心ですね。
早川 そう手放しで喜ぶわけにもいきませんよ。外国人の受け入れには、一定のリスクも伴います。
どういうことですか?
早川 外国人が増えることで真っ先に懸念されるのが治安の悪化です。2004年版の犯罪白書によれば、一般刑法犯の認知件数は279万444件で、前年比6万3,617件減だった一方で、来日外国人による一般刑法犯の検挙人員は8,725人(前年比1,035人増)、検挙件数は2万7,258件(前年比3,000件増)といずれも1980年以降最多でした。どのような外国人が来るかということで、日本の治安が大きく左右されます。日本の社会のルールを守れない、異質な外国人ばかりが増えてしまうということでは、日本の国そのものが変質、崩壊してしまいます。そういう意味では、周到な配慮の下での外国人労働者の受け入れの推進と、適正な入国管理対策が大変重要となります。
日本人の暮らしの安心・安全が脅かされたり、日本の国が崩壊してしまうということになるのでは困りますね。
早川 すでに、自民党は昨年の参議院選挙の公約として「25万人いる不法滞在者を5年間で半減させる」という数値目標を掲げています。また、今年5月18日には、私を含めた自民党の国会議員が、自民党治安対策委員会の中に『不法滞在対策・水際対策チーム』を作り、悪質で巧妙化が目立ってきている外国人犯罪を入国の時点で阻止するため、入管審査の際にバイオメトリックス(生体認証)を導入することなど、新たな入国管理施策の推進を提言致しました。
社会の多様化は良いのですが、犯罪まで多様化してしまうのは怖いですね。その点はしっかりと対策を講じてもらいたいです。
早川 また、先ほども話題に出たとおり、外国から労働力が入ってくることで、日本人の雇用機会が奪われるのではないかという心配もあります。高齢者や女性、さらにはフリーターやニートと呼ばれる若者など、仕事を得るチャンスを待っている人たちがたくさんいます。国内にある潜在的な労働力を活かすことをまず考えなければなりませんね。
なるほど。単純には片付けられない問題がたくさんあるんですね。
早川 大切なことは、皮膚や髪の色が違う外国人が日本にやって来ることに対する生理的な反発や人種差別意識に流されたり、あるいは、外国人との競争に負けることを危惧して、感情的な外国人排斥論に走ったりしてはいけないということです。
それでは、外国人労働者問題を考える際の、基本となる視点とは何でしょうか?
早川 わが国はアジアの国々やヨーロッパから様々な文化を受け入れ、これを吸収し、発展させながら現在の日本の文化を築いてきました。そういう意味ではもともと日本は世界に開かれた国だと思います。これから日本という国がいかに発展を続け、世界の中で生き残っていくか。そうした大局的な見地から外国人の受け入れや外国人労働者問題を考えていく必要があると思います。もっとも、私は無条件に門戸を外国人に開けと言っているのではありません。治安が安定しない社会に繁栄などありはしないし、労働意欲のある人に仕事を与えることのできない社会に活力はもたらされない、という大前提は忘れてはいけません。
わが国が世界の中で孤立してしまってはいけないということですね。
早川 その通りです。
四方を海に囲まれた海洋国家であり、かつ資源の乏しい国家であるわが国がアジアや欧米の国々に伍していくためには、どうしても自らを世界に開かれた国として位置づけ、戦略的でしたたかな外交を展開していかなければならないと思っております。これからも皆さんと共に新しい国づくりを進めていきたいと考えています。