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「少子化問題 求められる意識改革」〜子どもは社会の宝〜

2005/06/21-00:00

先日、厚生労働省が発表した平成16年の人口動態統計によれば、昨年調査時の特殊出生率が1.2905を下回って、今年の調査では1.2888と過去最低を更新したそうですね。「1.29」とか「過去最低」とか言われてもよく分かりませんが、どういうことですか?
早川 人口維持に必要なのは2.07以上とされています。
調査を始めた昭和22年には特殊出生率は4.54だったそうですよ。
昨年、生まれた赤ちゃんの数は約110万1000人と過去最低で、出生数から死亡数を引いた「自然増加数」が約8万2千人と初めて10万人を割りました。いよいよ人口減少時代に入ったとみていいでしょう。
今の状況が続くと、日本の人口はこれからどのくらい減るんですか?
早川 あくまで予測ですが、中位的予測では現在の約1億2774万人から、2050年には約1億人、2100年には6414万人に減ると予想されています。悲観的な予測では、2100年には今の人口の3分の1になるとも言われています(国立社会保障・人口問題研究所による)。
それだけ減ると、日本もすっかり変わってしまいますね。
早川 今の社会制度は、すべて人口が増加し、社会規模が拡大していくことを前提に組み立てられています。人口が減少して、高齢化社会が到来することで、現在の社会を維持しているシステム全体に重大な影響が出ることは間違いないですね。
例えば、社会保障ひとつ取ってみても、2020年には国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になるので、給付額が増大していくのは避けられません。その一方で、2000年には8638万人いた現役世代(15〜65歳)の人口は、2030年には早くも7000万人以下と、2割も減ってしまいます。当然一人あたりの負担が重くなります。
どのくらいの負担がかかるのでしょうか?
早川 今のままの制度を続けた場合、年金や医療、介護などの社会保障制度から一生のうちに受けるサービスと、それらに支払った保険料を比べた場合、今30歳代以下の世代は保険料負担の方が大きくなるんです。
具体的にはどのくらいになるのですか?
早川 30歳代で652万円、20歳代になると1000万円以上の負担超過と予測されています。
若い世代にとって、それはつらいですね。
何か今の高齢世代のツケを将来の若い世代にまわしているような印象を受けますね。
早川 確かに、今のままでは将来の世代に過重な負担がかかります。
とても健全な制度とは言えませんね。
早川さんたち政治家は手をこまねいて眺めているだけなのですか?
早川 政府も積極的な取り組みを見せています。
今年度予算では少子化対策として前年度比4.9%増の1兆3125億円を計上しました。内訳を見ると、児童扶養手当(母子家庭向け)に3252億円、児童手当(一般家庭向け)に3174億円、などとなっています。
ただ、奨学金事業や駅のバリアフリー化など、少子化対策とは直接関係無いものまで少子化予算とされているので、実効性という見地からは疑問が残ります。
政治家の皆さんには、若いお父さんやお母さん、それに将来日本を背負って立つ子どもたちに本当に役立つ政策を実行してほしいです。
早川 まったく同感です。
今の子どもたちやこれから生まれてくる赤ちゃんには、選挙権の行使や自分たちの考えを表明することはできません。彼らが大人になったとき、果たして我々のことをどう思うでしょうか。
私は5人の子どもを持つ父親でもあります。
ですから、敢えて将来世代の代弁者として、行動していきたいと思います。
具体的にどんな活動をされていますか?
早川 少子化問題こそが日本の国家的危機を招いているという認識がようやく自民党内で広がってきました。私を含め、自民党の当選1回の議員が中心メンバーとなって自民党の中に「少子化対策研究会」を立ち上げ、6月13日、緊急提言を取りまとめ、自民党の政調会長に提出し、6月21日には厚生労働大臣宛にも意見書を提出致しました。
どういった内容ですか?
早川 少子化問題が日本の国家的危機を招いているということの認識を明確化し、社会の意識改革を進め、具体的施策に反映させようと言うことです。→少子化対策の緊急提言はこちら
具体的にどのような施策を提案しているのですか?
早川 「お金、制度、心」の面からの公的支援を提唱しております。具体的には、

(1) 児童手当を現行5000円から15000〜30000円に増額する(必要予算約2800億円)
(2) 出産一時金を現行30万円から60万円に増額する(同約1500億円)
(3) 育児休業中の収入を最低10万円程度保障する(同約70億円)
(4) 特定不妊治療費を増額する(同約200億円)
(5) 企業の育児休業取得率や休業後の復職率などを公表する
(6) 事業所内にある託児所を地域に解放する
(7) 結婚情報サービス業、仲人業等の信頼向上を図る(テレビCMを解禁する)

などです。

どれももっともな提言だと思いますが、バラまきになりませんか?
早川 思い切った対策を講じないと、少子化の進行に歯止めがかかりません。
バラまきの批判が出てくるのを覚悟で、自民党の若手議員が少子化対策の提言をしていることを是非ご理解願いたいと思います。なお、こうした少子化対策の財源確保のために、扶養控除の見直しを併せて行ない、約5000億円の財源を確保することを提言しています。
外国ではどういう方策を取っているのですか?
早川 人口もGDPも異なるので、一概に比較はできませんが…。
例えば、人口が日本の約半分で、GDPが約4割に相当するフランスでは、産休中は給料の全額相当分を国が補償します。国全体で見ると、3歳児以下だけで年間2兆円の支援があるそうです。
それは、若い子育て世代にはうらやましい体制ですね。
それにしても、なぜ子どもの生まれる数が減ってしまったのでしょうか?
早川 初婚年齢が上昇しているのが原因の一つだと思います。
いわゆる晩婚の傾向が高まっています。
昨年の女性の平均初婚年齢は27.8歳。1980年には平均初婚年齢は約25歳でしたから、平均して3年近く晩婚化が進んでいると言えます。また、第一子出生時の母親の平均年齢は28.9歳となっております。
第一子出生時の年齢が高まれば、いわゆる出産適齢期と言われている期間が短くなってしまいますね。出産率の向上のためには、女性がなるべく早く結婚できるような社会環境を作るということが大事になりますね。
早川 その通りです。
そのために、企業は正社員の採用を進めると共に、若い方々に対する給料の支払額をもっと増やしていかなければなりません。経営者の意識を変え、これまでの年功序列や終身雇用制度といった労働慣行を思いきって切り替えていかなければなりません。
しかし、「いつ結婚するか」とか「どんな人生を送るか」といったことは人の価値観や、女性の生き方に関わることですよね。それをどうのこうの言うのも大きなお世話なような気もしますが。
早川 各々の多様な価値観を認めることは大切です。
しかし、子どもが親にとって宝だということは共通の価値観だと思います。
と同時に、子どもは日本の社会にとっても宝です。
このまま何の手も打たずにずるずると進行すれば、やがてはわが国は国家として存続することができなくなります。現在はまさにそういう非常事態にあるという認識を是非持って頂きたいですね。
少子化問題が大変な問題だということが良く分かりました。
日本が国として発展を続けていくためにも、あらゆる方策を検討しなければなりませんね。
早川 少子高齢化に伴う社会構造の変化を考える上で、大切なことがあります。
それは、「自分のことだけ考えればいい」「今の世代だけ良ければいい」というのではなく、常に未来を見つめ、持続可能な日本・持続可能な世界を築いていくという強い信念と将来世代に対する責任感をもつことです。
社会全体の意識改革が必要だということでしょうか?
早川 その通りです。
少子化対策に限らず、およそあらゆる改革には、社会のどこかに痛みが生じるものです。今こそ国民ひとりひとりが痛みに耐えて、困難を乗り切り、明るい未来に向かって行動を起こすべき時であると思います。