自民党 衆議院議員 早川忠孝 ウェブサイト

お問い合わせ・ご質問はこちらまで

ここからメニューです。

→戻る

ここからコンテンツです。

「再び、郵政民営化問題について語ろう!」

2005/06/06-00:00

野党の審議拒否で空転していた国会がやっと正常化しました。
小泉構造改革の本丸ともいえる郵政民営化問題が特別委員会で審議されています。
早川 私も他の委員との「差し替え」で、郵政民営化特別委員会の審議に参加しています。
そこでお聞きしたいのですが、早川さんは以前、政府の郵政民営化の基本方針について疑問を呈していましたね。
早川 はい。民営化自体には賛成なんですが、政府が提案を準備していた法案は現在の郵便公社の事業を4つに分社化するなど技巧を凝らし過ぎて、その割りに国民が恩恵をうけるメリットが少なく、国民に十分説明責任を果たしていないと判断していたからです。
今回の法案はどうなっていますか?
早川 私どもの問題提起を受けて、今回の政府提出法案は昨年9月に閣議決定された郵政民営化方針を修正し、より国民に納得してもらう形での法案の提案になっておりますので、基本的には賛成しております。しかし、未だ国会で大多数の賛成が得られるような法案にはなっておりませんので、これからの国会審議を通じてより良い改革につなげていくための修正が必要だと考えております。
そもそも、なぜ郵便局をわざわざ分社化しなければならないのでしょうか?
手紙を出すついでに、ATMでお金を引き出して、保険にも加入できるという今の郵便局は利用者にとってはとても便利だと思うのですが。
早川 同感です。
ですから、民営化後も窓口ネットワークを通じて、郵便はもちろん、郵貯や簡保などの金融サービスも全国一律で受けられるようになっております。しかし、3事業が同一の事業体で行なわれることについての目に見えないデメリットについてもよく考えなければならないと思います。
同一の事業体のままだとどんなデメリットがあるのでしょうか?
早川 2年前の日本郵政公社発足以来、郵便・郵貯・簡保の3事業とも黒字となっておりますが、売上・利益ともに減少しています。以前は郵便事業の赤字を郵貯・簡保の利益で埋め合わせていた状況でしたが、近い将来、これが逆になる可能性があります。最新の決算を見ても、郵便に比べて郵貯の落ち込みが目立っています。
郵貯や簡保が赤字になるということですか?
早川 そうです。3つのことがポイントになります。第一は、郵貯・簡保資金の自主運用が始まっていますが、安全な資産運用が義務づけられていることから、今のところ財政投融資、国債や地方債の購入、金銭信託での運用などしかできません。国債の発行残高がどんどん膨らんでいく中で、仮に国債等の利子収入等の運用収入が大幅に減少するようなことになれば、たちまち郵貯・簡保資金の運用が行き詰ってしまいます。
第二のポイントはどんなことですか?
早川 民営化されるということでこれまで専ら公共分野に投資されてきた郵貯・簡保の資金の政府保証が無くなり、将来的には民間部門へ投入されるようになるということです。しかし、民間の部門へ融資すると一口に言っても、容易なことではありません。民間の金融機関でも、バブル崩壊後、巨額の不良債権を抱えてしまいました。郵貯・簡保資金についても同様の事態がいつ生じるかもしれません。
第三のポイントはどんなことですか?
早川 第三に、郵政公社には今のところ民間企業と対抗できるような資産運用ができる人材が決定的に不足しております。郵貯・簡保事業が民間企業との競争に勝っていくということは現状ではおよそ期待できません。
簡保についてはどのようなことが問題になるのですか?
早川 簡保については、実質無審査で誰でも加入できるという、被保険者にとってのメリットが、やがては一度に多額の保険金の支払いが必要となり、保険料収入だけでは支払いができなくなる可能性があるということです。今の経営体のまま民営化して、果たして民間の保険会社との競争に勝ち残れるだろうかとの不安もあります。
貯金や保険の金融部門の赤字で郵便事業の収益が食いつぶされないためのリスクの遮断が必要だということですね。
早川 そうですね。明治以来、営々として築き上げてきた郵便ネットワークは国民の財産ですから、これをいたずらに壊してしまうようなことはしてはいけません。そのためにリスク遮断の対策を講じなければならないということです。そのために、郵便と貯金、保険の会社をそれぞれ独立の会社とし、互いにリスクを遮断していくために4分社化が必要だということになったのだ、と理解しております。
郵便事業の将来はどうなりますか?
早川 電話やメールなど通信手段が多様化していく中で、このままでは郵便事業そのものも縮小化していくのは避けられないでしょう。しかし、民営化で民間企業の手法を導入し、様々なコスト削減や、合理化を図り、さらに新たな事業分野へ進出することができるようにすることで大きな飛躍が期待できるのが郵便事業だと思います。特に、国際物流分野への進出などは、将来的な発展可能性が十分あると思います。
では、郵貯・簡保はどうなるのでしょうか?
早川 将来的には完全に民間の金融機関に移行していくことになります。もちろん、その過程で郵貯・簡保の規模が大幅に縮小したり、事業の「分割」や「譲渡」、既存の民間金融機関との「合併」の可能性も否定できません。民間分野への融資業務に不安があるのであれば、決済銀行に特化した金融機関になるという道もあります。社会の変化に合わせて、郵貯・簡保の事業も変わっていかざるを得ません。
ところで、野党はもちろん、与党・自民党の中にもいまだに反対を唱える議員が少なからずいるようですね。郵政民営化問題で国会が解散になる、などということはないのでしょうか?
早川 解散になるようなことは無いと確信しております。政治の混乱をもたらすだけの解散は誰にもメリットがありません。今まさに小泉構造改革の成果が目に見えて現れているところです。どんなことがあっても、解散は避けるべきです。小泉総理は6月3日の衆議院郵政民営化特別委員会で、民営化の基本方針が堅持される限り、法案の細部にはこだわっていないとの答弁を述べておりますので、最終的に法案の修正ということになると予測しております。
小泉総理が妥協するということですか?
早川 妥協とは違いますね。小泉総理が譲れないという基本方針とは、
(1)職員を公務員から民間人にする、
(2)郵貯・簡保の政府保証を廃止する、
(3)郵便・郵貯・簡保の事業をそれぞれ別の法人が行なってリスクを遮断する…
など、まさに民営化の本質の部分です。
本質さえきちんと押さえておけば、細部は後から変更したり、付け加えたりすることも可能ですからね。
なるほど。それは大事なところですね
早川 先ほど述べた通り、今、提出されている郵政民営化法案について、なお修正を要するところもあり、両手を挙げて賛成というわけではありません。しかし、郵政民営化は約27万人もの公務員を非公務員にし、さらに民間の創意工夫を活かしながら、郵政3事業の再生のための大胆な改革を今から実行しようという壮大な試みです。これによって官僚主導、官僚任せだと言われてきた日本の政治や社会全体の意識改革が進みます。もちろん、特殊法人の見直しも大幅に前進するでしょう。小泉総理なかりせば、決して成し得なかった大改革です。今、この機会に変えなければ日本の再生は未来永劫、成し得ないかもしれません。私は日本再生のための「責任ある改革」を志す国会議員として、この度の郵政民営化法案には賛成したいと思います。