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「中国との関係について考える」ーバンドン会議の結果を踏まえて−

2005/05/11-00:00

中国で激しい反日デモが行われました。一部のデモ隊は暴徒化し、大使館や領事館をはじめ、日本の企業や飲食店までが襲撃されています。
早川 絶対に許されることではないですね。受けた被害については、日本は断固補償を求めていくべきです。すでに上海市政府などが補償を始めているようですが。
中国政府がデモを黙認しているかのような態度を取っているのが問題だと思います。
早川 同感です。自国にいる外国人の安全を守ることができないようでは、法治国家の名に値しないと言われても仕方ないでしょうね。中国政府から公式な謝罪が無いことは異常だと思います。世界に与える中国のイメージが傷つくことは避けられないでしょう。これでは、2008年の北京五輪が成功するかどうかも疑われてしまいますね。
中国はなぜこんなに反日感情が激しいのでしょうか?
早川 いろいろ考えられますね。江沢民政権の頃から、組織的な愛国反日教育が行われて、反日感情が小中学校の段階から刷り込まれてしまっていることもあるでしょう。そういう世代が今デモ隊の中核になっているのではないでしょうか。加えて、インターネットの影響力も大きいでしょう。インターネットという匿名性の高いメディアによって、反日感情が鬱積し、増幅されていく側面があります。中国のインターネット人口は現在9400万人と言われています。一年間で2000万人も増えている計算で、既にインターネット人口ではわが国をはるかに上回っているんですよ。また、右肩上がりの経済成長で、若者を中心にナショナリズムが高まっているということもあるでしょう。
なるほど
早川 ただ、今回これほど反日デモが激化した直接の原因はよく分かりませんね。デモ隊の不満が歴史認識なのか国連安保理問題なのか、それとも不満の対象は本当は日本ではなくて、中国政府なのかもしれません。デモ隊に参加している若者の多くは、自分で自分のやっていることをそれほど深く考えていないようにも見えますね。
これまでも中国は事あるごとに歴史認識の問題を持ち出してきました。日本と仲良くしようなどという気がないんじゃないですか?
早川 日本は終戦50周年の1995年に、いわゆる“村山談話”で「深い反省」を表明しています。しかし、小泉総理の靖国参拝問題などで、中国側の不信が高まってきたことは否めませんね。
日本の総理が靖国神社に参拝しようが参拝しまいが、中国にやいのやいの言われる筋合いは無いと思います。靖国神社には日本の国のために亡くなった英霊が祀られているんですよ。
早川 国のために犠牲になった尊い方々を敬うことは当然だと思います。中国の言っていることは内政干渉以外の何ものでもありません。ですが、ここは一つ、中国の立場に立って考えてみましょう。1972年の日中国交正常化の際に、中国側は「戦争は日本の一部の軍国主義者が起こしたもので、一般の日本国民は被害者なのだ」という見解のもとに国交を結んだ経緯があります。ですから、中国にしてみれば“一部の軍国主義者”が祀られている靖国神社に首相が参拝するのは約束が違うじゃないか、ということになるわけです。
そんなの、勝手な理屈ですよ。日本が中国の言い分に従う必要なんて無いじゃありませんか。だから日本の外交は弱腰だと批判されるんですよ。早川さんは町村信孝外務大臣と親しいと聞いています。
もっと強気で外交交渉に当たるようにアドバイスしてあげたらどうですか?
早川 もちろん毅然とした態度を取ることは大切です。けれども、「言いたいことを言う」だけが外交ではありません。自分の主張だけを押し通して、席を立つというのは、その場では気分がいいかもしれませんが、国益という観点からすると取り返しのつかないことになりかねません。1933年に当時の松岡洋右外務大臣が国際連盟から脱退を決めたとき、これに非難する人は少なかったと思います。しかし、その後日本は国際社会の中で孤立を深め、戦争への道を突っ走ってしまいました。今、松岡洋右を評価する人は少ないでしょう。
今、早川さんは国益ということを言いましたね。そもそも国益とは何でしょうか?
早川 国民が安全に豊かに暮らせる国を作ることでしょうね。その意味では、中国に滞在している日本国民の安全を守るために、日本はあらゆる手段を尽くすべきですし、また中国にもそれを要求していくべきです。一方で、国民の豊かな暮らしを守るためには、日中関係は緊密な友好関係を保っていかなければならないと思います。すでに、2004年に日本と中国の間の貿易額が日本とアメリカのそれを初めて上回りました。日本にとって、今や中国こそが最大の貿易国なのです。対アメリカでは輸出の方が圧倒的に多いのに対して、対中国では輸入・輸出共に同じくらいの金額になっているのが特徴です。
日本から中国へ輸出するのと同じくらい、中国からたくさんの輸入品が来ているということですね。そういえば、ユニクロの服はみんな中国製だなあ。
早川 約9割は中国製ですね。それだけではありませんよ。東芝のパソコン、シャープの全自動洗濯機などはほとんどが中国製だそうです。(日本経済新聞05年4月19日号による)
ではもし、中国と外交関係が途絶するなんてことになったら大変ですね。
早川 中国の経済発展は日本にとって脅威だということを言う人もいますが、中国の発展によって日本の生産者や消費者が受ける利益は大きいと思いますよ。これからの日本経済は国際的な分業によって、外国の資本や技術や人材を活用して、その上で日本にしか出来ないことや日本が果たすべき役割を追求するべきです。中国は日本にとって巨大な可能性を秘めた隣国として、戦略的なパートナーシップを築いていかなければならない相手なのです。
日中関係が大事なことは分かりましたが、今のような事態が続くと、日中はパートナーシップどころか、不倶戴天の敵になりかねません。いつまた反日感情が湧き上がって、今回のような騒動が起こるとも限りません。中国と長期的な信頼関係を培っていくにはどうしたらいいのでしょうか?
早川 お互いの立場を尊重するしかないでしょう。我々日本人に愛国心があるように、中国の人々にも当然愛国の精神があります。殊更に反日思想を植えつけるような中国の教育には日本人として苦言を呈したいところですが、お互いに相手側の言い分も含めて、あらゆる情報を知った上で総合的な判断をするべきでしょうね。日本のODA(政府開発援助)が無ければ中国経済の発展は無かったことは明らかですが、多くの中国国民はこうした事実を知らされていないのではないでしょうか。
愛国心が一人よがりになってはいけないということですね。
早川 その通りですね。温暖化など、一国だけでは解決できない地球規模の課題がたくさんあります。中国大陸は砂漠化が進んでいて、これも放置できません。そもそも日本人のルーツを辿れば大陸に行き着くわけです。日本の文化の多くは中国大陸から伝播してきたわけですからね。
私たちが普段使っている漢字もそうですよね。
早川 2000年以上にも及ぶ日中の長い交流の歴史からを前提として、未来志向で行動するべきですね。実は、日本国内には7万7000人もの中国人留学生がいます。日本にいる留学生の実に66%が中国人なのですよ。一部には犯罪に加担するような不心得な留学生もいるようですが、彼らの多くは将来にわたって日中の架け橋になってくれる頼もしい存在だと思います。将来、政治やビジネスで指導的な立場になりうる中国の若者が日本を留学先として選ぶようにしなければならないし、また日本も積極的に受け入れなければなりません。それこそ日本の真の国益に通ずることだと思います。